10月の活動
10月1日(火)集いの会
出席者5人(うち会員5人)
今年になって入会された方が来てくださって、話題が子供時代のことまで遡りました。いじめや学校の対応、スクールカウンセラーや保健室登校など不登校だった時代のさまざまな出来事に話が及び、みんな辛い思いを経験してきていることがわかりました。
これからどうしていくか、とりあえず現状維持で先の展望が開けないのは同じです。親亡き後をどうするか、毎回この会の答の出ない課題です。
(S.T)
10月26日(土)学習交流会 ~豊田秀雄先生を囲んで~
参加者 8名(うち会員7名)
6月に続いて今年度2回目の豊田先生の交流会です。先生は7月に相談支援事業所を開設したばかりなのでまだバタバタしている、とのことでした。また、私生活でも入院中のお母さまがかなり重篤になられたので、そのことでも毎日の暮らしにいろいろ変化があるということも話されました。
今回サンクラブ多摩から豊田先生へは、「買い物依存やゲーム依存について知りたい」とお願いしていました。
ゲーム依存の話から始まり、ゲームをすることで脳内にドーパミンが大量に分泌されて心地よさ(快楽)や喜び、高揚感・興奮に繋がると言った話とともに、ドーパミンは統合失調症の原因物質とも言われている、という話もありました。
ゲーム依存(ゲーム障害)については2022年にWHOの診断基準(I C D11)に入ったとのことです。
買い物依存の話の中では、「買って使うことに喜びを感じるのでなく、買い物している過程に陶酔している」といった話がありました。
依存全般の話としてアルコールや薬物の入った物質への依存、今回のゲームや買い物・それとギャンブルなどのプロセス(過程)の依存という話があり、後半の参加者の話を受けて、人への依存(共依存)についても少しだけ触れてくださいました。「その人がその時々で本来行うべきことが依存の原因となる物質・行動によりできなくなっている状態」とも。それはコントロール障害ということ。どの依存にもこのコントロール障害は共通するところです。
この他アルコール依存の話の中では、身体依存と精神依存、飲酒中心の生活、耐性や離脱症状、飲んだお酒が体から抜けるまでの時間(分解時間)といった話がありました。
その後、参加者全員が依存症に関わらず、一言ずつ話しました。アルコールには問題無くても、タバコやコーヒーの量が多くて心配だという家族もいました。それに対して先生は、コーヒーやタバコは飲んでいる最中には幻聴から逃れられるという人がいる、ということも話してくださいました。アルコールに関しては、深夜にアルコールを飲んでいる時間が長いのでとても心配と深刻に話される家族もいて、アルコール依存症の大変さを実感しました。
また、長年親戚のひとり暮らしの当事者から電話で話を聴いている人からは昼間仲間に言われた嫌な事を「他人(ひと)が何と言っても自分は自分だ、と思った」と聴いてとても嬉しかったので褒めたという話に、先生から回復にはとても長い期間が必要で、親はもっと早く回復して欲しい気持ちが強すぎる、とコメントがありました。
終わってから、「今日は先生が一人一人の話にコメントをくださったので、とても良かった。」という感想が聞かれました。
(S.T)
9月の活動
9月10日(火)集いの会
出席者4人(うち会員4人)
一人っ子で、いつも親亡き後のことをいろいろ調べている方は、同じく一人っ子で後見人を付けている人に、どのタイミングで付けたらよいかを聞き、親が入院するなど、現状が変わった時がタイミングと言う話に、ちょっと安心したようでした。
しばらくぶりに参加した方がいました。他の人たちはその方の事をお身体の具合でも悪くしているのでは、と心配していましたが、そうではなかったと聞き、ほっと一安心。その方が「だんだん年を取って家事が負担になってきている」と話されたので、皆で自分は家事のどこを手抜きしているかで盛り上がりました。
(S.T)
9月28日(土)学習交流会
テーマ:「あんどの相談事業」と「兄弟姉妹との関係」
~地域活動支援センター「あんど」相談員を囲んで~
家族にとって兄弟姉妹、または親との関係はとても大きな問題です。このテーマを話し合うときに家族同士だけでなく専門家の助言、アドバイスは必要ということで、「あんど」からお二人にスタッフにおいでいただきました。
「あんど」とは
多摩市に住む障がい者が自立した日常生活を営むことができるよう、創作的な活動・生産的な活動の機会を提供し、社会との交流の促進をはかることを目的としています。総合福祉センターの中にある多摩市社会福祉協議会が市から委託を受けて事業を行っています。
〈相談支援事業〉3階窓口
★総合相談(一般相談)
18歳から介護保険適用前までと年齢層が厚い相談を私たちの他に4人で受けています。日常生活や治療、福祉サービス、就労までの「何でも相談」です。複数回の場合も含めて8月は46件の相談がありました。健康センターの中にある「のーま」でも同じ内容で相談を受けています。
障がい者手帳だけでなく、自立支援医療証でも相談を受けられます。
★指定特定相談(計画相談)
初めて障害福祉サービスを利用する時は介護保険のケアプランと同じく、サービス等利用計画の作成が必要となりますので、その相談を受けています。
あんどの相談員さんから説明をして頂いた後で、一人が自分の家の困りごとを出し、それについて皆で話し合いました。兄弟姉妹との関係の具体的なお困りごとや、当事者の金銭管理の悩みについての話題でした。
どのケースも深刻で、質問はいろいろ出ましたが、難しくて、困っている家庭に対して納得のいく解決策などは見い出せませんでした。
(S.T)
8月の活動
8月13日(火)集いの会
出席者4人(うち会員4人)
最近入会された方が一番に見えました。学習交流会では大勢なのであまり自分の事ばかり言うわけにもいかないので、参加してみたとのこと。小さいときのことから発症の経過で辛かったことや現在の困りごとが少し前に進んだことなどを話して少し気持ちが楽になったと言ってくれました。
成年後見制度についていろいろ調べている方は、先月話題に出た「多摩南部成年後見人センター」に電話したけれど、逆に住まいの「社会福祉協議会」に相談するように言われて、これでは堂々巡りだ、とがっかりした表情で報告してくれました。
(S.T)
動画で学ぼう! 会員からの公開講座の情報提供
「ひきこもりを理解し、誰もが生きやすい社会を考える」 動画のご紹介
6月にオンラインで開催された、「第9回 精神障がい者と家族のための市民公開講座」がWebサイトで公開されています。いつでも、スマホやパソコンで見ることができます。専門家の先生方の支援の取り組みについてのお話や、当事者や家族の方のお話も視聴できます。Q&Aセッションでは、講演者の皆さんが丁寧に回答しています。
<市民公開講座の内容>
「ひきこもり」とは、状態をあらわず言葉で、病気の名前ではありません。ただし、多くのケースで発達障害やうつ病・統合失調症などの精神疾患を罹思していると言われ、原因のひとつである場合があります。ひきこもり状態にある人は、全国で15歳から64歳までの年齢層に約146万人と推計されています。(内閣府「こども·若者の意識と生活に関する調査 令和4年度」)
性別・年代に関わらず、さまざまな理由でひきこもりになる可能性があります。当事者も家族も地域との関わりを絶ち、孤独・孤立の中で、なかなか支援に結びつかないことが課題となっています。
本市民公開講座では、「ひきこもりを理解し、誰もが生きやすい社会を考える」ために、それぞれ経験豊富な専門の先生から、また当事者やご家族の立場からご自身の体験についてもお話しいただきます。会の後半のパートでは、Q&Aセッション(質疑応答)の時間を設け、視聴登録して頂いた当事者やご家族などから事前にいただいた「ひきこもり」に関する質問について講演者の皆様からご回答いただきます。
<動画へのアクセスは>
大塚製薬の「すまいるナビゲーター」というサイトのに入ると、トップページの一番下の方にリンクがあります。過去に開催された、うつ病や双極性障害についての公開講座も見ることができます。次に、過去の開催した市民講座一覧をクリックすると、「動画で見る精神障がい者と家族のための市民公開講座」へ入ることができます。第9回講座に入ると、「動画視聴ページへ」の表示があるのでクリックします。
☞こころの健康情報局 すまいるナビゲーター (https://www.smilenavigator.jp)
☞精神障がい者と家族のための市民公開講座
https://www.smilenavigator.jp/information/event/shiminkokaikoza/koza9.html
☞第9回 精神障がい者と家族のための市民公開講座
「ひきこもりを理解し、誰もが生きやすい社会を考える」の中の「動画視聴ページへ」をクリックする。
(Y.U)
7月の活動
7月6日(土)第63回 高森先生のSST講演会
「みんなでやろう家族SST」
参加者 33名(うち会員 17名)
梅雨の晴れ間、猛暑にかかわらず、市域を超えて多数の参加がありました。開始直後、会場の隅にあった電子ピアノに目を止められた高森先生からの突然の提案で、参加者全員で「バイバイ ブロンディ」を合唱し、会が始まりました。
◆歌と手話で「I love you so」
「バイバイ ブロンディ」は、アメリカの新聞連載の4コマ漫画が、後にアニメ化された人気番組の主題歌です。歌の紹介をしながら高森先生が歌詞を板書。その後、歌詞を表現する手話を身振り手振りで参加者に伝授してから、先生のピアノ伴奏のリードで手話&合唱の楽しいプログラムが展開されました。思わぬ展開にみんなで驚きつつ、板書を見ながら歌を口ずさみ、手話で必死の表現。会場は、いつの間にか明るい雰囲気に包まれていました。
歌の後、歌詞の中の「I love you so」という部分について、先生が言及しました。ある家族会の講演会で、みんなでこの歌を歌ったが、さっそく家に持ち帰り、子どもと一緒に「I love you so」の歌と手話を実行した母親がいたそうです。その後に同じ家族会で、当事者も交えて同じプログラム実施した時に、先生は、屈託ない明るさで参加しているのが、その方のお子さんだとすぐわかったそうです。親子のコミュニケーションで、親のI love youが伝わっていると感じたそうです。
「この会場に皆さんが足を運んだのは、少しでもわが子を良い方向にもっていきたいという親の愛情があるから。家族会で学んだり経験したりした事を糧にして家に持ち帰り、家族にも上手に伝え、日々の生活を少しでもさわやかにしてほしい」というのが、先生からのメッセージでした。
ちなみに手話では、小指を立てて「I」の指文字・ 親指と人差し指を立てて「L」の指文字 ・親指と小指を立てて「Y」の指文字になり、3本の指をまとめて立てるので「I LOVE YOU」を表すサインになります。
◆まず親が「I love you」を伝えることが始まり
松江で150名の専門職参加者を前に、高森先生が講演をした際、医師と患者の診察という場面設定で、参加者全員でロールプレイをやった時のエピソードです。患者役に、医師に伝える事4点を設定し、注意点や会話を深める言葉の例を具体的に示しながら実践に入ったところ、頭のいい人はすぐに自分の意見を言ってしまい、相手の試行錯誤を許さない傾向や、医師は上から目線で話しがちなことなど、コミュニケーションの課題が浮かび上がったそうです。
次の事例は、大学卒業後、一人でロンドンに渡りカルチャーショックから発症した女性の話です。幻視で父親も認識できない状態で、羽田から病院に直接搬送され入院。合う薬が無く全然よくならずボロボロの状態。連日、面会に通う母親が、娘から「愛しているの?」と問われたときに、返事ができず、自分の中に無意識に「娘が家に不幸を持ち込んだ」という怒りと憎しみの気持ちがあることに気づいたそうです。
高森先生は、心はどうあれ、「I love you」と当事者に親が伝えることが大切であり、それにより親自身の心が変わってくることを説明されました。家で、「I love you so」の手話で働きかけをすることは、親がまず、自分が変わる行動をすることで、子どもを変わりやすくしてあげる行動療法ともいえるのです。
◆自分と未来は変えられる(親が変われば子が変わる)
コンボ(地域精神保健福祉機構)が発行するメンタルヘルスマガジン7月号「こころの元気」に、「親が変われば子も変わる」という高森先生の原稿が掲載されています。この掲載原稿をベースに、次のような説明がありました。
4月に講演に行った先々で、参加者に、自分が意識して変わったところについて書いてもらったところ、「ほめるようになった」「ありがとうと感謝する親になった」の回答が多く70%~80%を占め、一方、治療的効果がある「話を聞いてあげる」については、一番意味があるのにやっていない人が多かったとのこと。
「不安」「過労」「不眠」「孤立」の4つが揃うと、だれでも様々な症状が出てきます。不安は安定剤等で、不眠は睡眠剤で抑えられるし、過労は不安と不眠が少なくなると緩和される。しかし、孤立に合う薬はない。だから、家族は安心をあげる役割に徹してほしい。この病気は敏感だからストレスを受けやすく、人から愛されたい病気なので、大好きだということを親の言葉と行動、態度で伝えてほしい。
全家連の当事者へのアンケートでは、ストレスを誰から受けるかのトップは、家族でした。親は何とか病気を治してあげたいと思うが、親のレベルに引き上げようとすれば子どもは拒絶するので、親が子どものレベルに合わせて、子どもが変わりやすいよう、先に変わってあげるのです。親と会話をしたくない子どもの現在位置に合わせ、返事を求められない言葉で、声掛けだけする。安心して心を開いてきたら、次の段階。ほめる言葉や「ありがとう」の言葉での会話をしていく。子どもを引き上げるのでなく、寄り添ってください。当事者のアンケートでは、No1「もっと私の気持ちをわかってほしい」、No2「つべこべ指示しないで」No3「私を傷つける言動をしないで」でした。家族に変わってほしいという当事者の思いです。
相手の話をわかるために大切なポイントは、すぐ問題解決を図ろうとしないで、まず相手の気持ちをわかることを先にやること。Social Skill Training(SST)は、その実践です。アメリカでリバーマン先生が考案した社会生活を送るコミュニケーションのための3技能のトレーニングは、薬以外の力で、コミュニケーションの質の向上を図るもので、精神疾患の再発防止や生活の質の向上に良い影響があります。3技能とは、①受信機能 ②処理機能 ③送信機能を指します。
◆反復確認がキーポイント
先生の掲載原稿にそって、「相手の気持ちをわかるための大切なポイント」の解説がありました。中でも、最も重要として強調されたのが反復確認です。5段階のSSTのプロセス(①関心表明・②反復確認・話が具体的になるための質問・④共感の言葉・⑤自分の考え)の中で、②と③プロセスに十分時間をかけることが重要です。反復確認は、当事者が「自分が大事にされている」と実感できる。これがビタミン愛なのです。
相手の言ったことを相手と同じ言葉でくり返すので、敏感で色々な事を受け止めすぎて変化に弱い当事者の気持ちに変化を起こさない。病気で脳が急変を処理できないので、親のレベルに合わせようとしない。調子の悪い時ほど、相手の状況にあわせてあげることが必要。「口で寄り添いながら、親の目力で圧力をかけることのないよう、親は焦らない、頑張りすぎない、無理をしない! 『ア・ガ・ム』の気持ちで家族が話を聞くことが治療の始まり」という先生の言葉が心に刺さりました。
◆2つのゲームで反復確認と表情&態度で伝える実践体験
休憩後、高森先生からの提案で、SSTの技能を磨くために、①反復確認の練習と、②表情から感情を読み取る2つのゲームをみんなで実践しました。
最初のゲームは、リーダーが自ら考えたテーマにそって2つの単語(事柄や名称等)を発表し、会場の中から1名の方を指して、もう一つ(プラスワン)を付け加えてもらい、会話で反復しながら確認し、指名されて付け加えた方が次のリーダーになるゲームです。
次は、カードに書かれている状況設定等をリーダーとリーダーが選んだ人物1人だけで共有し、リーダーに選ばれた人物が、カードの内容にあわせた感情を表情で表し、それ以外の参加者が表情から感情を推察するというゲームです。
双方とも、SSTの3技能をフル稼働! 反復したつもりで、言葉を端折ってしまったり、ありがとうの言葉を添えるのを忘れたり、自分がリーダー(主役)になった時に、テーマが浮かばず慌てたり、表情を読み取るのが意外に難しかったり、そして、現実には表情ができない当事者もいるという事実もあったりと…。笑いの中で日常のコミュニケーションやリアクションを振り返り、見落としがちな事に気づく機会になりました。
「親が自由に笑えるような存在になった方がいい。笑いはエンドルフィンという幸福ホルモンを生む。うれしそうな表情を忘れないよう、楽しい感情をわき起こすことが大事」という先生の言葉を実感したひと時でした。
◆お困りごと相談
締め括りはいつも通りです。会場から寄せられた相談2件(お子さん関するもの・高齢の母親に関するもの)に関し、相談者と先生がやり取りをしながら、具体的な情報提供と助言で終了しました。 (M.F)
7月9日(火)集いの会
出席者3人(うち会員3人)
先月に引き続きご主人の体調がすぐれないことで心配している方は、もし病気の子どもと二人だけで残されてしまったら、と考えると経済的な不安やその他の不安が次から次へと浮かんできてとても辛いとおっしゃっていました。そこで、成年後見制度の相談先とか生活保護の条件や基準についての話も出ました。ご主人の体調が良くなれば不安も軽減するのでしょうが、誰でも一年一年、年を取るので前もっていろいろな制度を調べておくことは大切ですね。
集いの会は少人数で何でも話せる場です。どうぞ、一度覗いてみてください。 (S.T)
7月27日(土)学習交流会
「東京つくし会」とは?(つくし会家族会訪問)
~つくし会副会長の本田道子氏を迎えて~
参加者10名(うち会員9名)
ある会員から、毎月「サンクラブ多摩だより」に同封されている「つくしだより」を読んでいるが「つくし会」について詳しく知りたいという要望があり、以前に訪問していただいてから大分経っているので改めてお願いする形で今回の家族会訪問が決まりました。
〈自己紹介〉
本田さんは二人のお子さんが障害を持ち、上のお子さんはグループホームとアパートでのひとり暮らしを経て、現在は都営住宅に住まい、就労を続けています。下のお子さんもグループホームからアパートでのひとり暮らしをしていましたが、そのアパートの立ち退きに対して自分で家探しをするなど、現在ほぼ自立して暮らしています。ここに至るまで長期間のひきこもりや暴力など大変なこともたくさんありましたが、専門家の力を借りて夫婦で乗り越え、現在は子どもさんのことは何も心配していらっしゃらない、とのことでした。
本田さんは、現在渋谷区の精神障害者の家族会「渋谷太陽の会」の会長をなさっています。太陽の会では渋谷区に要望して、精神障害者にはタクシー券、区の福祉手当8,000円を支給されるようになったとのことです。
「太陽の会」も「サンクラブ」と同じように毎月例会をしていて、出席者は10人弱くらいですが、保健所の講堂を優先的に借りられるので、会場確保の心配はない、ということです。補助金は渋谷区の障害者団体連絡会から50,000円が講師料として、あと社協から50,000円があるそうです。
〈東京つくし会〉
東京都の家族会49団体が加盟していて、理事は9名で運営していて皆ボランティアで交通費だけが支給されています。つくし会は23区と多摩地区に分かれて活動しています。8月31日に多摩ブロック会があり、午前中は相談員養成講座で午後はブロック会議です。
7月から9月にかけて東京都に対して来年度の予算編成に向けての要望書を提出します。その内容は以下のとおりで、1と2は重点要望です。
1.早期発見・早期治療を促進し、治療中断・再入院を回避するため、アウトリーチ(訪問診療)拡充で精神科医療に繋げてください。
2.精神科医療の充実
3.精神科休日夜間救急診療については、次の措置をとってください。
(1)民間精神科病院群で構成される輪番制の担当地域を複数に分割してください。
(2)やむを得ず家族が患者の移送のため、民間の護送サービスを利用せざるを得なかった場合には、都において移送利用料金を補助してください。
4.思春期における精神疾患の早期発見のために以下の事を行ってください。
(1)中学生を対象にした精神疾患を理解する内容のパンフを毎年作成してください。
(2)児童・生徒の状況を身体・健康面、心理面の観点から捉え把握することなど教職員の支援力をつけるための研修の機会を増やしてください。
(3)障害者週間に、一般都民に精神疾患に対しての偏見をなくし、正しい理解を得るための講演会やYouTubeでの動画配信など工夫した取り組みを行ってください。
(4)都が配置している東京都公立学校のスクールカウンセラーを常勤化してください。
5.精神障がい者にも福祉手当を支給してください。
6.重度心身障害者医療助成制度(マル障)を2級手帳保持者も対象にしてください。
7.家族会活動への支援
(1)家族会の活動拠点である事務所は、本会の会員の会費によって賄われており、不安定な状況です。全国精神保健福祉連合会の関東ブロックに所属している6県では、すべて精神保健福祉センターのような公的施設を利用しています。都におかれましても施設貸与か賃借料の支援をお願いします。
(2)市区町村のアウトリーチにおいて家族会が育成した相談員を活用していただきたい。
また、都民ファースト・公明党・共産党・立憲民主党などの都議会各会派からのヒアリングも予定されています。
〈相談員として家族に伝えたいこと〉
都庁で福祉関係の相談員として電話相談と面談に従事していた関係で、つくし会でも電話相談をされており、時々面談もされているようです。
「相談では、まず相手を受け止めることが大事です。年をとると、思っていても動けなくなります。行動に移さなければ思っていても変わりません。相談だけでは変わらないのです。」という本田さんの最後の言葉が胸に響きました。(S.T)
6月の活動
6月11日(火)集いの会
出席者2名(うち会員2名)
いつまで待っても人数が増えず、最初から最後まで二人きりでした。話題は広がりませんが、その分、小さい頃のことから初めての入院とその後の通院、今に至る経過と先行きの心配事などをじっくり話すことができました。
集いの会は少人数で何でも話せる場です。どうぞ、一度覗いてみてください。
(S.T)
6月21日(金)東京つくし会評議員会
参加者1名
会場は調布市文化会館(たづくり)8階映像シアターでした。朝から雨が降り続く中、47の家族会が参加しました。
真壁会長の挨拶で始まりました。
昨年度は滝山病院事件に関係する様々な取り組みを行ってきました。特に大きかったのが都議会あてに「医療機関における精神障害者への虐待をなくし適正な医療へのアクセスを可能とする陳情」を提出し、全会一致で趣旨採択されました。そのことに自信をもって新年度に向けてやっていきたいと思います。
来賓の挨拶では、各政党の都議会議員、手をつなぐ育成会理事、みんなねっと事務局長から一人約1分30秒のスピーチがあり、行政からは東京都精神保健医療課長が出席しました。議員のお一人から「家族会は地域で精神障害者の方が暮らすうえで大きな役割を果たしておられます。家族会の方のみなさんの重要性をもっともっと東京都として応援すべきではないか」と言う心強い言葉がありました。
令和6年度東京都予算には、①精神科病院における虐待の通報窓口の設置、虐待防止研修の実施、②身体合併症(慢性維持透析)に係る医療提供体制の確保事業、③区市町村長の同意による入院者への訪問支援事業が新規に盛り込まれました。このことは大きな成果に思うと言う報告でした。
東京つくし会の赤字財政解消のため、事務局員2名体制を1名に削減せざるをえなくなり厳しい状況です。賛助会員の拡大をしていきたいと思います。地域のクリニックや病院に頼んでいただきたいというお願いがありました。
提案された2023年度事業・活動報告及び2024年度事業・活動報告は全て承認されました。詳しい内容については7月以降の「つくし便り」に掲載されますので是非ご覧ください。
会の終了後、午後から講演会がありました。
テーマ: 精神障がい者が事件を起こしてしまったら
~被害者への損害賠償は家族が負担?~
講師: 弁護士 奥田 真帆 氏 (立川アジール法律事務所)
(K.F)
6月22日(土)豊田先生の交流会
出席者12名(会員11名)
前日梅雨に入ったばかりの土曜日でしたが、さいわいこの日は雨にも降られず、最近会員になった方が多く参加して少しでも多くの情報を得たいという気持ちが感じられました。
前回のお話では、先生は相談支援事業所を立ち上げる準備をしているということでしたが、数日前に事務所のある自治体から「やっと東京都から指定の認可が下りた」との連絡を受けたそうです。自治体によっていろいろと言うことが違うみたいで、かなりご苦労なさったようですが、いよいよ7月1日に『サポートハブ巣鴨』という名称で開設することになったということでした。
サンクラブ多摩から豊田先生への要望として、最近新しく入った方も多くなり、病気についてもっと知りたいので、例えば、「水中毒」や「アルコール依存症」を代表とする「依存症」などについて、お話していただけないかとメールでお願いしてありました。先生は、「僕は医者ではないから」と断わった上で、そのことについてのお話がありました。
〈水中毒〉
水を飲み過ぎることによって電解質(ナトリウム・カリウムなど)のバランスが崩れて、意識障害を起こすこと。死に至ることもある。
統合失調症の薬、うつ病の薬の副作用で喉が渇く → 水を飲む →電解質が薄まる → 腎臓・肝臓に負担がかかる(2~3ヵ月に一度は採血をして調べる必要がある)
〈アルコール依存〉
禁断症状の時に幻聴・幻覚が出ることがある。一般的にアルコールは薬の効果を高めたり、薄めたりする。向精神薬を飲んでいる人も同じ。タバコも同じで飲んでいる人は落ち着くと言う。ニコチンが向精神薬の代謝に影響を与えるという研究がある。
①グループ 酒を止めるのだから、タバコくらいしょうがない。
②グループ 酒を止めるなら、タバコも止めなければしょうがない。
という二つの考え方があるが、本人にとってメリットが無ければ止められない。家族がそれをやることは難しい。きちんと本人に説明してくれる人がいることが大切である。
その後、参加者全員が一言ずつ気になっていることなどを話しました。その中で、主治医との関係で悩んでいる方の話があり、それに対して先生から相性という話と参加者から主治医の立場への理解という発言もありました。個別相談は1件でした。
(S.T)
5月の活動
5月14日(火)集いの会
出席者4人(うち会員4人)
最初から後見制度に関する質問で始まりました。親亡き後の日々のお金の管理や持ち家の維持管理に対する不安から、どこに相談したら良いかという疑問でした。
それには、住所地の社会福祉協議会の権利擁護センターが窓口になっているので一度相談に行ってみてはどうか、ということでほんの少しホッとしたようです。多摩市ですと総合福祉センター7階にあります。
そのほか、自分の健康状態も良くないけれど、もし連れ合いが先にいなくなった場合は家計が立ち行かなくなるのでは、という心配も出ました。どうなったら生活保護が受けられるのかという疑問も出て、3月の学習会に出席した人が生活福祉課長から説明を受けた内容を伝えあったりしました。サンクラブ多摩だより4月号にその記録が出ています。
集いの会は少人数で何でも話せる場です。どうぞ、一度覗いてみてください。
(S.T)
5月25日(土)2024年度通常総会
出席者 会員17名
昨年に続いて、今年も会員のみで通常総会を開催しました。
藤岡責任代表の挨拶のあと、59名の会員中17名出席、委任状32名で総会が成立したことが宣言され、会員の本多さんが議長に指名されて議案の審議に移りました。
1号議案の「2023年度の活動を振り返って」の中では、最初に八王子の「滝山病院事件」に対する東京つくし会の取り組みについての説明がありました。また、毎月の学習交流会については、9月に多摩市の障害福祉課長、3月に生活福祉課長をお呼びして多摩市の「障害福祉政策」や「生活保護制度」についての話を聞いたことが多摩市の実情を知る上でたいへん有効だったという説明がありました。
2号議案の決算報告では、落合代表が欠席のため、1号議案と同じ高村代表から各項目について報告がありました。運営費の支出の中で「会費分担金」の中に「草むら」が入っているが、これはどういうものか?という質問があり、それに対してグループホーム見学の際の「寄付」が正しいのだがここの項目に入れさせてもらった、という説明がありました。続いて本山監査委員からは帳簿、現金について間違いないことが報告されました。
3号議案の活動計画では藤岡責任代表から年間テーマは昨年同様の「地域で安心して生きるために」が発表されて、その裏付けとなる予算案の説明がありました。
4号議案の役員体制は、昨年度運営委員会の協力員だった上田さんが会計に加わりました。
1号議案から4号議案までそれぞれ賛成多数で承認されました。
総会終了後の懇親会では、初めに監査の松田さんから老人会で小学校や保育園に「昔遊び」に出向いているというお話と「お手玉」と「あやとり」の実演があり、堅苦しかった総会の雰囲気が一気に和みました。
その後、最近会員になった方や久しぶりに参加された方たちにひと言ずつお話してもらいました。
◎主治医とのコミュニケーションが取れなくて悩んでいる。
◎この会は、子どもを守ってあげるのではなく、子どもが自立していけるよう親が学ぶ、という姿勢に感銘した。
◎病識が無い息子で医療にも結び付かず悩んでいる。
◎娘が「のーま」のフィットネスに通っている。ほとんどのプログラムが予約制だが、フィットネスだけは予約制ではないので助かる。
◎この会に入った頃は落ち込んでいたが、自分が歌が好きだったことを思い出し、シャンソンを習いに行った。今では、一日中何回も歌って練習し、コンテストの最終まで残った。息子も私の歌を応援してくれている。
最後に発言された方は、その後シャンソンを情感たっぷりに歌ってくれました。
(S.T)
第62回高森先生の公開講演会「みんなでやろう 家族SST」 続編
この報告は、4月6日(土)に開催し、5月にHPで掲載した講演会報告の続編で、高森先生が過去に聞いた精神科医のお話から続いています。
★精神科医・臨床心理学者の北山修氏の話の続き
薬は、刺激を少しでも入れないようにするための対症療法で、夏の暑さを緩和するためにすだれを掛けるのと同じ。当事者は感覚が鋭敏で、常時、不安をもっているので、自分の心を守ることが難しい。心を守るためのオゾン層は、家族や周囲の環境によって整えていく必要があるという北山先生のお話を図にしながらのお話でした。
高森先生は、現実に起きた事件も引き合いに「当事者に家族でどう接するかが、病気の当事者にとっても家族にとっても、重要な分かれ道。家族で虐待に発展するか、困難を一緒にのりこえようとする和気あいあいの家族になるかの境」と、バザーリア先生の狂気を生まない環境とも関連づけられました。
★当時者に任せきることで息子が変わった
「全国精神障害者家族連合会」の会長をされた小松さんは、戦争中、多くの学友が戦死する中で、学徒動員の対象にならずに今生きている経験がとても苦しく、罪深く思っていたそうです。息子が病気になり引きこもっているのを見ると、若くして死んだ学友が思い出され、男の先輩として息子を指導し一人前にしなければという強い思いで息子に関わり、息子は父親を殺したいと決意したほど険悪だったそうです。
ところが、母親が亡くなり、家事のできない男同士で暮らすようになり、すべてを引きこもりの息子に任せることを決意し、文句は一切言わないようにすると、息子から「すべてを任せてくれてありがとう。今が一番幸せ」という手紙をもらうほど、関係が変わったとのこと。息子は新聞を4紙購読し、経済的にも堅実な生活を送るようになり、「財布も息子に全部預けたが、今は何も心配することはない」と言い、昨年の春に安心して逝去されたそうです。
「親亡きあと、『生きていけるの?』という言葉は、当事者にとって一番不安になる質問。これが一番のストレスのもとになる。自分自身が変わることで『大丈夫よ』と言ってあげられる親になって」というのが、先生からの言葉です。
★家族SSTについて
SSTは、戦争から帰還して麻薬依存や精神を病む患者が増大したことから、アメリカでリバーマン先生が考案した社会生活を送るためのコミュニケーションのため3技能のトレーニングのことです。3技能とは、①受信機能 ②処理機能 ③送信機能のことで、当事者たちが、なりたい自分になるための訓練で、精神疾患の再発防止や生活の質の向上に良い影響があります。
「家族SST」は、平成3年に高森先生が日本で始め、家族が理解者になることが当事者の治療にいいということで、全国へ普及活動をされています。先生が紹介されたフレーズは、「ほめることは進んでやる、悪口は言わない。家族が勉強すると、子どもが変わりやすいように、自分と未来が変わる!」ということです。
◆参加者からのお困りごと等の相談
①25歳の息子の変化
息子の具合が悪かった時、ほめるようにしたら、息子が親のことをほめてくれるようになった。その後、病気もよくなり、服薬はしているが通信制高校から大学に進学し、今は働いている。
これは相談というより、うれしい報告で、会場のみんなで拍手を送りました。
先生から、トイレに引きこもる17歳の息子の母親からの相談を受けた事例が示され、会場の参加者にどう対応するか質問があり、「安心して引こもれる場所を作ってあげる」案が出ました。不安の極みで引きこもるので、「不安な時こそ、狭いところに入りたい」という当事者の心理についての先生の説明です。別の引きこもれる場所を作る、場所が広ければトイレを別に作る、お風呂場で災害用簡易トイレを活用する等。理不尽な要求でも、物理的に解消できることには対応し、安心して引きこもれるようにしてあげることが、当事者の今を認めることであり、信頼につながるというお話でした。
②結婚後、発症した44歳の娘へ対応
結婚後、妊娠・死産を経験し発症。結婚前の若い頃に入院や服薬はしなかったが、その兆候はあったようで、婿はそれを承知で結婚した。主治医は、多剤処方で、娘もあまり信頼はしていないが、医師を変えるのには乗り気でない様子。家庭では、娘の夫が家事に仕事に頑張っているが、時々爆発してしまう。娘は自責の気持ちから「こんな人(自分)と結婚しちゃって」と言う。母親として、食事を作って持っていくなど協力はしているが、娘夫婦にどう対応したらいいのか?
結婚はストレスの第7位。もともと繊細であったところに結婚・死産を経験し、不安が大きかったことが引き金になったのでしょう。話をよく聞いてくれる主治医に変えた方がよい。 夫婦関係に親が入ってくるのが、お婿さんにとってはどうなのかの視点も必要。まずは感謝す! 夫の爆発もしょうがないと受け止め、娘さんにもそう言ってあげて。医師経由ルートで、精神障害によるヘルパー導入も考えてみてください。
③お金の管理ができない息子について
息子は障害年金2級で、6万5千円を支給されているが、たばことお酒で使い切ってしまう。どう対応したら、お金の管理ができるようになるのか?
まず、お金の使い方を年金の6万円5千円内でやりくりしてもらう。そして、食費をいくらかでもいいので家計に入れてもらうこと。年金以上のお小遣では、親亡きあとに本人が困ってしまう。「年金以上は我慢してほしい。我慢できる大人になってくれたら、お母さん、すごく助かるなぁ」とお願いしてみてください。食費も最初は少額から少しずつ増やし目標3万円を目指す。そして、できたことには、たくさんほめる。親がお断りするときは、さわやかに明るく断り、「ごめんね」をいっぱい使う。できそうなことから手を入れ始め、徐々に進めることが大事。
4月の活動
4月27日(土) 学習・交流会「保健所の仕事今むかし」
お話 南多摩保健所地域保健担当 荒井和代氏
参加者14名(会員12名)
最近暑い日と寒い日が交互に訪れ、体調不良の方も多くて参加者が少ないのではと心配でしたが、最近入会された方が早くから集まり、まずはホッとした集会でした。また年度の変わり目ということもあって講師もなかなか決まらず、荒井和代先生が承認してくださったと聞いた時には本当に安心しました。このように役員の心配の中で始まった学習会は、荒井先生の気取らない話し方のおかげで、参加者が自分の疑問を素直に出せた感がありました。
まずは簡単に荒井先生のレジュメに沿って東京全体の保健所とその中の南多摩保健所の現保健所の説明がありました。南多摩保健所は大きく庶務・医療担当の管理課、企画調整・市町村連携担当の市町村連携課、薬事指導・環境衛生・食品衛生・保健栄養担当の生活環境安全課、保健対策・感染症対策・地域保健担当の保健対策課の4つに分かれ、荒井先生は感染症対策担当として多摩、稲城、日野を担当しています。都の役割変更前は作業所や、デイケア、患者の会など都の仕事でしたが、作業所など身近なものは市役所の管轄になりました。
現在の多摩市の相談窓口は次の三か所です。
◎地域活動支援センター「のーま」
地域での生活支援と自立を図るための相談
◎地域活動支援センター「あんど」
趣味や教養の教室・水力訓練室の利用等の事業
◎相談支援多摩市障害福祉課
手帳申請、医療費助成
そのほか東京都には自治体を超えて様々な相談・医療事業があります。夜間こころの電話相談や発達相談、高次脳機能障害の電話相談など多岐にわたります。(東京都福祉保健局発行「道しるべ」参照)ざっくりと荒井先生のお仕事の概要は30分くらいで終了し、皆さんからの質問に答えて様々なお話が行き交いました。
〈治療を中断した近所の息子さんと高齢の母親の暮らし>
近所からの通報で保健所がすぐに訪問すると、当事者からは保健所は近所の人の味方=自分の味方ではない、と思われるのですぐには動けません。二人で暮らせているうちは何とかなりますが、一人残されると介入が難しくなり、生活が立ち行かなくなります。家族が元気なうちに社会との関係を作っていくことが大事です。 介護保険の範囲になると地域包括支援センターが入って何とかなる場合がありますが…。
〈精神疾患がある場合コロナで入院できる病院はありますか〉
コロナが2類扱いの時は確かに入院先が限られていて、保健所が調整していました。コロナは5類に移行した現在も流行していますが、感染者数がカウントできていません。コロナは風邪とは明らかに違う症状が見られます。
〈入院した息子のことが心配でしょうがありません〉
どこの病院も医療相談室がありますので、そこを訪ねて相談してみると良いと思います。
看護師の資格を取ってさらに一年公衆衛生の勉強をして保健師になった重さを感じさせない荒井先生のお話はリアリティーをもって私たちの悩みに答えてくださいました。
(K.H)
4月6日(土)第62回高森先生の公開講演会
「みんなでやろう 家族SST」
参加者 24名(内会員14名)
62回目を迎えたサンクラブの公開講演会が幕を開け、高森先生は、20年余りのサンクラブの歩みを振り返り、感慨深い様子で話し始められました。まず、初参加の方に挙手をしてもらい、気さくな雰囲気で話しやすいよう気を配りながら、当事者の様子を聞き出しました。遠路、江戸川区からご夫婦で来訪された参加者の方には、当事者である娘さんの状況を確認され、「夫婦でこういう会に参加して勉強すると、家中の空気が変わる。家族は何とか治してあげたいという気持ちで必死にやっているつもりでも、かなり間違ったことをやっていることが多い。3分診療と言われるように、家族が具体的にどう関わればいいのかを話してくれる医師は少ない」と、SST(Social Skill Training)が必要な訳を説明されました。相手は変えられないが、相手が変わりやすいように自分が変わることを学ぶのがSST。家族の関わり方次第で、当事者との信頼関係ができることや、逆に親から監視されるような生活では、症状が余計に悪化し、狂気を生み、家族間での悲惨な事件に発展してしまう事例があることを、複数の具体例で説明されました。
◆狂気は環境が作り出す
下記の抜粋は、高森先生がいつも紹介される、イタリア・20世紀の精神医療大改革の実践者であるバザーリア先生の言葉です。
狂気は、深い苦しみに裏打ちされた表現であり、また、狂気は一つの「人間の条件」であるから、医師はこの人間らしい現象にどういった姿勢で向い、どのようにその狂気の要求に応えられるか、を思うべきであるとしました。さらに「狂気は生活環境によって増長されるので、環境によって危険性を抑えることは可能」であり、病院は、狂気を増大させると非難しました。 |
狂気は、家族や仕事などの周りの環境が作り出す感情で、生活環境が変われば症状も抑えることができるという提唱です。高森先生はこれを踏まえ、統合失調症を発症する子は生まれつき敏感で、ストレスを感じやすいため、家族が子どもの現在(症状)を認め、否定しないで寄り添いながら接し、「親は味方」という思いが伝わるようにすることが大事。親が良かれと思い、次から次に助言・忠告・指導をしてしまうのは、子どもの現在を認めていない行為で、「生活環境によって狂気を増大させる」ことになります。親はつい「病気を治す」ということに精力をつぎ込みがちですが、当事者の現在を認める行為が伴わないと、ストレスを与え不安を増大させてしまいます。家を自由な雰囲気にして、当事者がのびのびとできる、安心できる、狂気を生まない環境にしてほしいというメッセージです。
◆精神科医・臨床心理学者の北山修氏の話から
高森先生は20年前に、昭和のフォークソンググループで活躍された北山修氏の講演を聞いたことがあり、印象に残った話として、「敏感」ということについて、人間の心のシステムを宇宙に例えて、次の図を描いて説明されました. (つづく)
3月の活動
3月30日(土)昭和記念公園ハイキング
参加者 7名
サンクラブのハイキングで昭和記念公園に行きました。西立川駅で参加者7名が合流し、さっそく目の前の公園へ。前日までの肌寒くはっきりしないお天気とは打って変わって、この日はすばらしい晴天で気温も上がり、公園散策日和となりました。園内は家族連れや子供たち、犬を連れた人などたくさんの人でにぎわっていました。
ソメイヨシノはまだこれからというところでしたが、早咲きの濃いピンクの「陽光」が私たちを出迎えてくれました。チューリップのお花畑もほんの一部しか咲いていませんでしたが、ちょうどチューリップ畑の写真展をやっていて、満開に咲きそろった見事な景色を写真で見ることができラッキーでした。写真家の方がいらしていろいろと説明してくださったのですが、チューリップの球根代が1年になんと五百万円、と聞いてびっくりでした。今年は4月中旬ごろが見頃だそうなので、そのころもう一度見に行きたいな、と思わずにはいられませんでした。チューリップは残念でしたが、その代わりに菜の花が一面に咲き、黄色の世界が広がっていて目を楽しませてくれました。
あずまやで横一列に並んだお弁当のひとときは、皆さんのお菓子の差し入れやコーヒーの差し入れでお腹もいっぱい。おしゃべりにも花が咲きました。途中で出会った秋田犬。「わー、カッコいい!!」と近寄って飼い主さんのお話を聞いたり、ワンちゃんを撫でさせてもらったりして、初めての秋田犬体験をしました。集合写真もたまたまそばで三脚を立てていたカメラマンのお兄さんに撮っていただき、思い出の一枚となりました。それから園内を走る乗り物「パークトレイン」に乗って園内をめぐりながら、西立川口から帰る人と立川口から帰る人それぞれに運んでもらって解散となりました。
お天気に恵まれて、目も心もお腹も満たされて、しばし日常を忘れて楽しんだ一日でした。皆さんと一緒に行けたからこそ味わえた昭和記念公園だったと思います。
(K.F)
3月16日(土)精神保健福祉講座
「多摩市の生活保護」 多摩市生活福祉課長・松田隆行さん
出席者15人(内会員14人)
今年度の目標「地域で安心して生きる-地域の社会資源について学ぶー」に基づき、9月の障害福祉課長のお話に続いて、3月は生活福祉課長に「多摩市の生活保護」というテーマで仕組みや対象者について伺いました。わかりやすい資料を用いての詳しい説明でしたが、その中で家族にとって関心の高い部分を報告します。
〈多摩市の生活保護の状況〉 令和5年4月1日現在 多摩市の人口は148,107人 世帯数は74,760世帯 多摩市の保護率は1.7%で26市の平均ぐらいです。世帯類型別では、高齢世帯が圧倒的に多く46.3%、障がい者世帯は18.9%です。コロナ後は、それ以前の1.5倍に増えて高止まりしています。
〈生活保護とは〉日本国憲法第25条に規定する生存権の理念に基づき、国が生活に困窮する区民に対し、その困窮度に応じて最低生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする制度です。昭和25年の生活保護法制低から現在までほとんど改正がなく、実施主体は市ですが、金額の改定などは国からの通知で来ます。国の制度なのでどこの市に住んでいても同じです。
〈生活保護制度の基本原理〉保護の補足性の原理があり、保護を受けるためには、各自の資産、能力その他あらゆるものを活用することが要件です。預金・不動産などの資産の活用、親族からの扶養、年金が受給できるなら年金を受給する、就労可能なら就労する、他の制度があれば他の制度が優先される、などです。
〈生活保護実施上の原則〉 保護は原則として世帯(一つ屋根の下に暮らし、同一生計を営む)を単位として行います。
〈生活保護の決定(保護の要否判定)〉国が定めた最低生活費(世帯の居住地・人数・加算+実際の家賃)より収入が低ければ、その不足分のみ保護が受けられます。
〈扶助の種類と内容〉① 生活扶助 衣・食・光熱水費などの日常生活の費用 ② 住宅扶助 家賃、地代、住宅維持に必要な費用のほか自立支援医療以外の医療費 などがあります。
〈地区担当員(ケースワーカー)の役割〉【給付決定】保護申請者に対して各種調査を行い、保護の要否判定と程度の決定、援助方針を策定します月ごとの保護費を算出して支給します。保護費は毎月1日午後、基本的には口座振り込みで支給されます。【自立助長のための支援】・健康管理支援として、市内精神科病院から医療ソーシャルワーカーを派遣してもらい、その専門的見地から精神疾患のある受給者に対し、通院勧奨や服薬等の指導をして、適切な医療を受けられるように支援しています。・金銭管理支援事業として、自分で金銭管理ができない受給者の安定生活の維持、自立の促進を図ることを目的として、生活費を含む財産の管理や支払い関係等の諸手続きも事業者に委託して行っています。
1時間の説明の後、質問に移りました。主な質問は以下の通りです。<質問>本人の預貯金がある場合は、どのくらいまでだったら保護を受けられますか?
<答>国が定めた最低生活費より預貯金が少なければ、その差額分が受けられます。<質問>持ち家があれば生活保護は受けられないと聞いたことがありますが、公団の古い分譲でもダメですか? <答>持ち家すべてが対象外ではなく、固定資産税の評価額が家賃扶助より低ければ認められますので、双方の兼ね合いで決まります。
<質問>同居の兄弟が働いている場合は、住民票で世帯分離していても受けられませんか? <答>同居していれば住民票がどうであれ同一世帯とみなされるので無理です。
<質問>生活保護受給者はカードが持てないのですか? <答>カードを持つことはできますが、カードローンはできません。借金は収入とみなされます。
(S.T)
3月12日(火)集いの会
出席者 2人(うち会員2人)
冷たい春の嵐が吹き荒れる日で、参加者が少なくなるだろうことは十分に予測されましたが、二人だけでした。その分じっくり話し合うことができて、良かったとも言える集いの会になりました。
(S.T)
2月の活動
2月25日(土)交流会 精神保健福祉士・豊田先生を囲んで
出席者13人(うち会員13人)
連休の中日、道路が混んでいるのでちょっと遅れると先生から連絡が入り、いらっしゃるまで何をしようかと思っていた時もう先生は入ってこられました。
先生は興味あるテーマを学会で議論していたのでZOOMで参加していたと前置きして、その話題を一気に話されました。
・4月から運用される医療保護入院は原則半年だが、この場合、市区町村の同意がいるがこのことがより明確になった。そして同意したのだから訪問することが義務付けられたがこれは虐待を発見できるというメリットがある。
・退院促進事業は住宅支援がポイント。グループホームは2年間東京都の補助があるから通過型が多い。自治体ごとに住宅支援協議会が設置され議論されているがどういう立場の人が座長になるかで決まることが違ってくる。
・今まで身体について病気の予防事業は多数用意されていたが精神について予防対策はなかった。この精神面の予防対策を医療・福祉・地域と連携していくことが政令都市、保健所のある都市に義務付けられた。他は努力義務になっているが一歩進んだことになるだろう。これを機に計画相談の事業を豊島区で立ち上げるつもりだ。
その後、一人づつの近況報告に移りました。
難病を克服して、これからの人生をポジティブに生きることを宣言したAさん、拠り所になった本の紹介もありました。久しぶりでお会いしたBさんは表情も明るく元気にシャンソンを披露したのは驚きでした。しかし、子どもとの信頼関係が築くけず苦しんで方が多数いらっしゃったのは身につまされます。また、出かけたらなかなか帰ってこない当事者、テレビを見た興奮をそのままぶつけてくる当事者のお相手で疲れてしまう親御さん、子どもの障がいに加えお連れ合いの高齢化に伴う認知度の低下、いまだ幻聴、幻覚に悩んでいる当事者・・などなど
皆さん淡々とお話していますが、その悩みの深さは察するに余りあります。こんな優しい方が沈んでお話する情景を見るにつけ精神疾患の複雑さ、理不尽さにどうしようもない苛立ちを覚えてしまいます。それでも「生きてるだけで立派」と主治医の言われたことを心に止めていらっしゃる方、心配しても仕方ないのでなるようになると開き直っている方の話も交え、様々なお話を共有することで見えてくる生き方のヒントがいっぱいありました。
一通り話が終わったところで豊田先生の総括的なお話がありました。
初回に比べると皆さん、それぞれに前を見て進んでいます。自分のいい所をもっと探して頑張っている自分をほめてください。幻聴・幻覚について言えば、当事者は時にはナイフを背中に突き付けられている恐怖にかられます。怖いですよね。想像してください。また、傾聴することは大事ですが、長い話は止めてとはなかなか言えません。病気だからしょうがないとラベリングしていませんか?時には反論してもいいと思いますよ。
ほぼ時間通りに2時間で終了し、その後一名の方のご相談にのっていただきました。
先生とのお付き合いも会を重ねるたびに共感できる状況ができてきていると実感します。
(K.H)
2月13日(火)集いの会
出席者4人(うち会員4人)
急に春めいて暖かな日ざしの午後でした。
しばらくぶりにそれぞれの家庭での食事、入浴、着替えなど日常生活の細かい事や主治医の対応に話が集中しました。同じ病気でも症状や困っていることはそれぞれの家庭で少しずつ違っています。「それは大変だわね。うちではその点は困っていないけれど…。」と言うこともあれば、「うちではこんな風にしているの。」などのアドバイスもあります。それでも「ここでしか話せない。ここで話せることは、何より嬉しい!」と皆スッキリした表情で解散しました。
集いの会にまだ一度も参加したことのない方は、ぜひ一度覗いてみてください。 (S.T)
1月の活動
1月27日(土)新年会
出席者18人(うち会員15人)
コロナのために中止が続いたサンクラブ多摩の新年会は昨年から、お弁当なしの時間短縮で再開しました。厳しい寒さの時期、ちょっと緩んだ小春日和を思わせる日だったので参加する人も多いかなと期待した割には少ないと感じた18人の参加でした。受付にはクッキーと飲み物(クッキーはお土産用、飲み物は会場での飲料可)、横に希望者はお持ち帰り可能な「月刊みんなねっと」(とっても読みやすくコンパクト、その上お得な情報もいっぱい載っていてもらい得!)、社協を通じて寄付でもらったファイルも並べて皆さんをお迎えしました。
新年会は、毎度お馴染み植村先生のうたごえ喫茶風イベントで始まりました。着席順ごとに二人の選ぶ曲を大きな声で歌っていきました。いつも感じることですが、声を出すことで少しずつストレスが飛んでいく感じがとてもいいです!いつ歌っても同じ歌詞で泣いてしまうのは年を取ったせいでしょうか。
今回の最大の見せ場は当事者のF君とMさんの独唱。F君は井上陽水の「少年時代」を豊かな声量で朗々と歌い上げ、アンコールにも答えていましたし、Mさんは、落ち着いた優しい声で「いい日旅立ち」を最後まで歌い上げました。また、今回は初めてイントロにクイズにも挑戦。植村先生に選択した曲のイントロを演奏してもらい、わかった人は手を挙げて曲名を言うという簡単なルールですが、さすがに若い人は反応が早いですね。親たちは「ああ、あの~あれ~」と曲が頭に浮かんでも正しい曲名はなかなか思い出せず、身もだえする楽しい脳トレ時間でした。
後半は藤岡さんの進行で参加者が順番に話す近況報告です。今回当事者の発言が堂々とあったことが印象的です。言葉はとつとつとしていても真剣で、それなりに親を思う気持ちに溢れていて感動的でした。もちろん親御さんの状況報告も身につまされるお話があったり、爆弾を抱えながら平和な時を淡々と過ごしている状況だったり、相変わらず子どもとの葛藤が続いていたり、と千差万別です。もしかしたら前回と同じ状況報告なのかもしれませんが毎回発言なさっている人の思いが率直に吐き出されて、「あ~、同じだ」「がんばれ、がんばれ」「もう少しの辛抱!」「よかったね」と共鳴している自分がいます。皆さんもきっと同じだと思います。一人ひとりの思いが家族会で共有することが大事なことだと実感する新年会でした。
今年もよろしくお願いします! (K.H)
1月9日(火)集いの会
出席者6人(うち会員6人)
最近入会された方が早くに来られたので、皆が集まるまでゆっくりお話を聴くことができました。その後で、参加者全員がお互いに自分の家庭の状況を説明し合いました。そのとき、常連の方から病気の子どもが小さいときから落ち着きがなく育てるのがとてもたいへんだった、など初めて聞くお話も出ました。皆でそれぞれの振り返り
12月の活動
12月12日(火)集いの会
参加者4名(内会員4名)
今月も親の高齢化による体調不良の話から始まりました。お互いに通院しているクリニックの紹介や治療方法など話題もどんどん広がります。そして最後は「私が倒れたらわが家はどうなってしまうのだろう?」「うちだって。」に行きつきます。
そういう例を身近に見ている人は「親がいなくなると子どもは意外としっかりしてくるものよ。」と言いますが、その前提条件として公の支援機関に繋がっていることが一番大事です。 (S.T)
11月の活動
11月25日(土)精神保健福祉講演会 「ひきこもり」の臨床
講師 西 晃先生(桜が丘記念病院・医師)
参加者 27名(うち会員16名)
急に寒さが訪れた日でしたが、6階の集会室には用意した椅子が埋まってしまう状況でした。講師が会員の多くの方が通っている桜が丘記念病院の先生のせいかもしれません。始まる前、若い男性の方がお見えになって珍しいこともあると思っていたらその方が今日の講師の西晃先生でした。
定時に高村さんの司会で始まった先生のお話は会場のスクリーンに映された画面と手元に配られた資料と双方を確認しながら進行しました。最初に簡単な自己紹介がありました。2019年慶応義塾大学病院精神神経科医局に就職、そこから何か所かの病院に派遣され22年桜が丘記念病院に勤務されていますが、週に一回南多摩病院総合内科外来で内科診療も行っており、月に1、2回往診クリニックで診療を行っているという経歴です。演題は「ひきこもり」の臨床、ひきこもりという概念が生まれていったいきさつから始まりました。
1990年以前はひきこもりという概念がなく精神科医の斎藤環さんがアメリカ精神学会の診断基準に「社会的撤退」として統合失調症やうつ病の症状として報告されてることを紹介しています。そして、ひきこもりを①20代後半までに問題化すること ⓶6か月以上自宅に引きこもって社会参加しない ③他の精神障害が第一の原因と考えにくい と定義しています。ここの考えがスタートになっています。
1990年以降相次いで起きた事件の犯人がひきこもり状態にあったことから「ひきこもり=犯罪予備軍」のようなイメージが広がっていきます。
2003年以降 事の重大さを認識した国が動き、ひきこもりに関する調査、分類、分析が進みます。ひきこもりの定義が「趣味の用事の時だけ外出する」も含めて広義になって、調査対象も10~64歳になった令和4年には全国で146万人というデータが発表されました。この分析結果を見ると10~14歳では理由が特にないが34.9%だが15~39歳では14.8%と言語化ができるようになるにしたがい理由がはっきりしてきます。理由が分からない範囲を考えると何らかの病気が隠れている場合があったり重荷を背負っている可能性があると考えます。理由の中にはひと付き合いや何らかの失敗体験が大きな理由になっているようです。最近の傾向として統合失調症は横ばいですが、うつや双極症は右肩あがり、10年でADHDは6倍、学習障害は5倍、ASDは3倍になっています。社会人になるタイミングで発達障害が発症することが多いようです。ひきこもりにつながる精神疾患は大きく4つに分類できますが、多くは少しずつオーバーラップしています。この範囲をどのように解きほぐして治療法を探っていくかは精神科医にかかってくる重要な仕事です。場合によっては薬物療法を中心としたスピード感あるサポートが功を奏する場合もあり事例が紹介されました。発達障害で物忘れが多く並列作業(同時に複数の仕事をする)が苦手な女性が職場の配置転換で改善した例、また、上司の移動で職場の緊張感が強くなり過換気発作が起きてしまった場合も配置替えで改善しています。
しかし、精神科の受診まで行くハードルは高く、その多くは精神疾患に対する偏見と思われますが、また、頭痛や腹痛などの身体的な症状で内科に行き異常ないと診断されそこで止まってしまうケースもあります。いかに円滑に精神科に移行するかが課題です。様々な症状を持つ人が受診することが多い内科との連携が課題と思われます。先生の南多摩総合内科での経験の中でも一日に5~10人程度は精神科的治療が必要だそうです。
最後に今まで出会ったケースの中からの紹介がありました。ひきこもりは病名でなく現象概念で複数要素が背景になっていることが多い現状です。長いひきこもりでもジョギングや散歩などきっかけに体のことも一緒に診る中で、話し合うようなことから糸がほぐれる場合があります。今やひきこもれる時代、ひきこもり同士のコミニティを作ってひきこもりの楽しみを知ることも一案、適切な医療に繋がるために本人だけでなく家族に対しても病気を理解してもらうことも重要でしょう。
西先生は精神科医の課題でもある内科診療も務めながらアウトリーチでもある往診も経験しています。これから多様な引き出しをどのくらい身に着けることができるか、将来が楽しみです。また、お会いしたいものです。
(K.H)
11月4日(土)第61回高森先生公開講演会「みんなでやろう 家族SST」
参加者 31名(うち会員15名)
90歳を過ぎた今でも、全国の家族会の講演会や学習会に出向いて、家族をはじめ、当事者支援の関係機関スタッフを対象に、SST(Social Skill Training)を伝え続けている高森先生。最近、講演で行かれた地方は家族会もなく、障害への偏見等が根強い、当事者や家族が息を潜めて暮らす閉鎖的な地域で、講演会には家族の参加も少なく、その分、関係機関の職員が大勢参加されたとのこと。当事者に関わるスタッフが勉強していると本当に助かると言いつつ、公開講演会の参加者の顔を見渡しながら、困っている家族が、切実な悩みを率直に話しあって確認や相談ができる場、初めての方でも市外の方も躊躇しないで参加できる開かれた場として、家族会の存在の必要性に言及されました。
◆狂気は環境が作り出す
高森先生が講演の中でいつも紹介されるのは、「心の病は愛で癒す」という小冊子です。当事者の父親である呉慎次郎さんが奔走して、国内はもちろん、海外の専門家にまでボランティアでの寄稿を依頼し制作した冊子は、最近、改訂版も出たそうです。この中で特に重要なポイントとして、「自由こそ治療だ! イタリア・20世紀の精神医療大改革」という掲載原稿の次の部分を読み始めました。
精神病の「医学」から「狂気」を切り離し、狂気は、家族・仕事・環境などの社会的要因からの「一連の現象」であるとしました。狂気は、深い苦しみに裏打ちされた表現であり、また、狂気は一つの「人間の条件」であるから、医師はこの人間らしい現象にどういった姿勢で向い、どのようにその狂気の要求に応えられるか、を思うべきであるとしました。さらに「狂気は生活環境によって増長されるので、環境によって危険性を抑えることは可能」であり、病院は、狂気を増大させると非難しました。
イタリアのバザーリア先生は、狂気は、家族や仕事などの周りの環境が作り出す感情で、生活環境が変われば症状も抑えることができると提唱しました。高森先生は、この説を踏まえ、統合失調症を発症する子は生まれつき敏感で、光や音、空気圧の変化もストレスに感じるほどの感覚で生きていることに触れ、親が喜ぶような子になろうとして、脳が疲れ果てて思春期に発症するケースが多いため、「家族は、子どもの現在を認め肯定的に接し、味方なんだという素朴な思いが伝わるよう接することが大事。本人の意思を尊重し、育て直しという視点で子どもの成長を待ってあげて」と言及されました。また、「家族が良かれと思って言う言葉で、当事者は傷つく。対話の中で『それで味方かよ!』と言われたら、『どこが敵に見えたの?』と率直に聞いてください。本人が答えを持っているから」と付け加えられました。親が次から次に助言・忠告・指導をしてしまうことは、子どもの現在を認めていない行為で、バザーリア先生の言う「生活環境によって狂気を増長される」に重なるという指摘です。親は、愛情から我が子を放っておけないので、頭のいい人ほど「治す」ということに精力をつぎ込んでしまいます。当事者の現在を認め寄り添う行為が伴わないと、ストレスを与えてしまうことに…。家を自由な雰囲気にして、狂気を生まない環境にするためのコミュニケーションのトレーニングがSSTです。
◆伊勢田先生の視点〜どう治すのかでなく、人生目標をどう生きるか〜
昨年6月に、川崎の家族会は、元都立多摩総合精神保健福祉センター医院長の伊勢田先生を招いて講演会を開催し、その内容が難しかったものの、何か大事な事を言っていると感じた参加者から、再度開催を望む声があがったので、1月に同じ先生、同じ資料で、高森先生も招き、再度、講演会を実施したそうです。伊勢田先生に家族から6件の「困りごと相談」が出され、それを聞いた先生からの助言を期待していた参加者は、「現在、精神疾患は治らないし、治す必要もない」と、先生が資料を読み上げたことに驚いたそうです。「人生が行き詰まると発症し、行き詰まりが解消すると回復する。つまり、治りきりにはならないが、行き詰まりが解消されれば、いつでも回復できる。むしろ、治そうとすること自体が治りにくくさせる。」と続けて資料を読み上げられ、「ここに出された相談は、どれも病気からくる皆さんが困っている現象。その症状を抑えるのでなく、当事者の人生の目標をどう生きるかの環境に焦点をあてる」と示唆されています。
伊勢田先生は、「治療は、患者の生活をみないとできない。当事者が人生の目標を見出し、人生の中でそれを実現するよう支援するのが医師としての使命」との考えから、環境を構成する医師や親がより根源的に大きな視点で関わる必要性を提示されている。伊勢田先生の調査研究では、服薬をしている人が中断すると、70%が9カ月以内に再発する。服薬をまじめにやった場合でも38%が再発、さらに本人の意思で再発しないよう努力をした場合では、再発が36%になる。再発は、薬が抑えきれないほどのストレスを与えることで起きるが、再発させる原因は親。家族が当事者への正しい対応を理解して実践すると、再発率は13%までダウンするという結果が報告されています。当事者と接する家族が勉強することが、いかに大事かを物語っています。
◆対応方法の工夫
これを踏まえ、高森先生は、大声を出す症状の場合、むしろストレスを発散させることを薦められました。「今はインターネッとで『叫びのツボ』が5千円程度で入手できるので、『声を出して発散するのは、ストレスを発散できるから、いいんだって。近所の人が驚くと大変だから、このツボを使うといいよ』と明るく話しかけてみてください」と。また、「私の話を聞いて、あるお父さんは、家で暴れる息子さんのために、部屋を頑丈に改装し、気のすむまで思いっきり暴れてもらい、静かになったこら「大丈夫?」と声をかけるようにしていたら、暴れなくなった」と具体例を話されました。
神田橋條治先生の著書「心身養生のための経路・ツボ療法」はユニークな本で、いろいろな発散方法が紹介されているそうです。「病気の部分を治そうとしていじっては駄目で、死にたくなった場合の対応や、打楽器やカラオケ等ストレス発散もそれぞれの家族に合わせて工夫することが大事」と、紹介されました。一軒一軒の家に、それぞれのクセ、いわば成育歴による文化の違いがある。暮らしの中のクセは、兄弟姉妹でもみんな違う。その人の生活を踏まえた臨床が大事で、自分の子どもでも親とは違う。親は、愛情と絡めて良かれと思い、無意識に子どもを自分色に染めようとするが、当事者にとっては苦痛でしかない。どう生きるべきかという、もっと大きな愛で包み、本人の自然治癒力を大事にし、子どもの声に耳を傾ける。治すという視点でいじくりまわさない。
◆お困りごと相談
◆親亡きあとの生活環境をどう作っておくか、心配43歳で引きこもっている息子と両親の3人で暮らし。結婚した姉2人がいるが、親以外に関わりが持てない状況。福祉にもつながっていない。病院にかかっているが、薬を取りに行くのは母親。いい先生に出会えていない。薬は自分で進んで飲んでおり、病識はある。
親亡きあとは、「適切にお金の使い方ができること」と「周りの人に助けを求めることができること」の2つができれば大丈夫! 本人は今だけで精一杯。引きこもっているのを怠け者と言われるのが一番つらいので、否定的な事は言わずにほめることで生命力を高める。誕生日や祝祭日などの特別な日を選んで、生活保護の生活資金支給額6万5千円を意識して、一人暮らしになった場合のやりくりについて親として伝えていくこと。障害年金をたばことお酒で使い切る今の生活は、お小遣いだが、生活資金はお小遣いではないので、そのことを丁寧に伝えていくことが必要。生活資金として、額は少なくても食費も入れてもらうようお願いしてみる。お金のやりくりができ、お医者さんに通院していれば、病気の証明はお医者さんがしてくれる。できれば、薬は自分で取りに行くのを仕事としてもらう。一人の人間として尊重する言い方でお願いをする。相手の調子が悪い時は「また、話聞いてくれるかな」と言って深追いせずに、何回か繰り返す。信頼関係ができると断りにくくなる。また、自信を無くすから、ダメ言葉を使わないで、お願いとして本人に伝える。不安にならないよう「大丈夫!」と言ってあげた方がいい。できれば、保健所の地区担当の保健師にも挨拶に行ったほうがいい。周りの人達、特に関係機関のスタッフと助けてくれる環境を作っておくことが大事。必要なことをきちんと相談できる親になってほしい。
◆8月末に退院。作業所に通っているが、焦りから調子を崩している20歳前半の娘。2か月入院し8月末に退院。11月から、週2回B型作業所に通所、パソコン作業をしている。就職するのに3年かかると言われ、希望を失い、焦りから、最近、調子が悪くなり、幻視もある様子。「肝臓がいくらで売れるか?」なんて言い出す。作業所には行きたいと言っている。
ある当事者のお母さんが考えた「あ・が・む」というフレーズがあります。
あ→焦らない・が→がんばりすぎない・む→無理をしない
ストレスが増えると不調が増えるので、この言葉を唱え自戒しているそうです。20代は焦りから再発が一番多いので、親子で「あがむ」を意識していく必要があります。発病すると、急性期の症状の後、消耗期に入り陰性症状が出てきます。この時期は、心身ともに疲れっており、ゆっくり眠ることによってエネルギーを蓄え、回復期につなげる時期です。その後、赤ちゃんでいえば一人遊びの時期がきて、さらに外に出ていき人に会いたくなる活動的な時期につながっていきます。それぞれの時期について理解したうえで適切に対応することが大切です。
娘さんは、先生や親の指示に従う依存型タイプではなく、自分の考えを優先し、失敗から学ぶ啓発型のタイプ。親は、焦らずに、失敗もさせる大きな心をもって、徹底的に話を聞いてあげる。SSTの相手の気持ちをわかるための大切なポイントを意識して、まずは関心表明、反復確認をする。助言や忠告はいらない! 「作業所へ行きたいのね」と子どもの気持ちを受け止めながら、明るく具体的に話をすること。
◆自分をバカにした人への仕返しを口にする息子への対応発達障害のグレーソーンの27歳の息子。過去のことで自分をバカにした人に仕返しをしたいと固執しているが、親としてうまくコミュニケーションができない。どう対応したらいいのか?
SSTの相手の気持ちがわかるポイントは、カウンセリングの手法を基本にしたもので、①関心表明、②反復確認、③話が具体的になるための質問、④共感の言葉(同意ではない)、⑤自分の考えのプロセスから構成される。特に、この中の①関心表明、②反復確認、③話が具体的になるための質問のプロセスが大事。「仕返ししたいの?」「どんなことがあったの?」と、息子さんのつらい気持ちを吐き出させるように、コミュニケーションをしてみる。とことん聞いてあげる。自分の考えは、いらない。
親は⑤の自分の考えを言うことに終始しがちだが、反復確認できちんと話すこと。当事者は、敏感に親の気持ちを推し量っている。親が同じ環境に立つためのプロセスが反復確認。当事者のアンケートの回答トップは、「もっと私の気持ちをわかって」。特に啓発型や発達障害の場合は、否定的な事は言わない。助言・忠告・指導は言わずに、とことん話をきいてあげるしかない。共感と同意は違う。つらい気持ちをわかってというのは、「濡れないように親が傘(助言・忠告・指導のこと)を差してくれることではなく、一緒に濡れてほしい(共感)」という、ある当事者が表現した例を挙げて、相談コーナーは終了しました。
(M.F)
11月14日(火)集いの会
出席者4人(うち会員4人)
最近世の中、ほとんどすべての問い合わせや申し込みがパソコンやスマホでしかできなくなってしまい、そういう機械に不慣れな自分たち世代は本当に困っているという話で具体例がたくさん挙げられて大いに盛り上がりました。
それから、あちこち具合が悪くて日常生活(主に家事)が思うようにできないけれど、まだ介護保険未満の現状では手助けしてもらう方法が無い、どうしたらよいのだろう、どこを手抜きするのが良いのだろうか、いろいろな意見が出ました。
(S.T)
10月の活動
10月28日(土)学習交流会
参加者10名(会員9名)
豊田秀雄先生の今年度2回目の交流会です。最初に先生からこの会は参加する人が元気になって帰ってもらうことが目的なので、学習するのではなく、交流してほしいとのお話がありました。この会では、お互いに名前を覚えることも大切だし、ここで話されたことは外では絶対に出さないように約束してほしい。ここだけだったら何でも話せる、という場にしたい。と繰り返されました。
その後、先生ご自身が今まで関わってきたお仕事について簡単にお話されました。その中身は、「計画相談をしていて依存症の人と会うことが多い。子どもの虐待にも関わっている。精神保健福祉士養成の実習の指導。」などご自分の経験を共有してもらえれば良いと思う、とのことでした。
それから、前回と同じように一人ずつ最近の様子や気がかりな事、将来の心配などを出し合いました。
その中で、病識が無く医療に繋がらないで困っている方には、他の参加者に同じような経験をしたか、そのときどう対処したか、を尋ねました。先生のお話では、どこの家でも経験していると思うが、無理やり病院に連れていくことは難しい、症状が出て警察に保護してもらった方が医療に結びつきやすいとのことでした。先生はまた、家族は自分が先に死んだらどうなるだろうと考えている人は多い。残された子どもが食事の支度ができることはすごいが、今はコンビニもある。ただし、コンビニばかりでは金銭的負担も多いので、金銭管理が必要となる。とのお話でした。
今回は、集まった会員の話から、共通の話題を取り上げてアドバイスをいただき、考え方の道筋をつけていただきました。交流会後の個別相談はありませんでした。 (S.T)
10月10日(火)集いの会
参加者4人(うち会員4人)
最初に自分の体調管理のための方策や、家事をどこまできちんとやるか、どこまで具合が悪くなれば公的な手助けを得ることができるかなどが話されました。
また、遠くの病院への通院がたいへんな事や近くのクリニックの紹介などの情報交換もされました。自分だけでなく、夫の体調不良や飲んでいる薬の話が出て、行きつくところは、親亡き後病気の子どもの心配です。ひきこもっている現状を何とか変えたい、ということで話は終わりました。
(S.T)
9月の活動報告
9月23日(土・祝)学習交流会 多摩市障害福祉課 平松課長をお招きして
出席者21人(うち会員20人)
長い夏日もやっと終わったかなと感じた休日でした。開始10分前頃からいつも参加してくれている人から日ごろお目にかからない人まで来場、残暑が続いていた祭日での企画だったので参加者が少ないのではと心配していましたが、臨時の席を急いで用意する嬉しい事態になりました。時間通りに高村さんの司会で開始。平松課長さんの簡単な自己紹介のあと本題に入りました。
まず、多摩市の状況に関しては新しいデータもとに説明がありました。多摩市の人口総数はここ数年ほぼ横ばい、ご多分に漏れず高齢者が増え、出生率が減っています。障害者手帳を持っている人の増加は微増ですが他の障がいに比べ精神が増えています。10年前に960人だったのが今は2000人以上、特に18歳から64歳の働き盛りの人が1760人と大きな数字となっていることは本人にとってはもちろん家族の心労も大きなことを物語っています。市の一般会計587億円中民生費が300億円を占め、必要な人に援助が行き届かない背景も伺い知ることができます。世界の動向に伴い国の法整備も整い、障がい者への差別をなくすための合理的配慮の必要性も謳われ、時代は少しづつですが変化してきました。現在、市では障害福祉に関わる計画を策定中です。12月にはパブリックコメントが公募される予定ですので声を上げてください、とのことです。
多摩市おける障がい者の相談件数は約2万件その中の半分以上が精神障がい者に関する相談です。その精神障がい者に対応するために専門家による地域包括ケアシステム構築協議会が令和4年11月からスタートしています。多摩市が具体的に取り組んでいる事業は各種障害者手帳の受付、心身障害者福祉手当や難病に対する各種手当の給付,日常生活用具や補装具などの給付、医療費や交通費などの助成、障がい者の就労支援など地域で暮らす上で身近で大事な案件です。相談業務としては、障害福祉課で対応するために保健師、精神保健福祉士等の専門職9名を窓口に配置しています。また、2か所の地域活動支援センターがあり、総合福祉センターの「あんど」は社会福祉協議会に、桜が丘の健康センター内の「の-ま」は正夢の会に委託しています。
平松課長に用意していただいたレジュメに沿ってのお話後、サンクラブ多摩がまとめた市への5項目の要望書が読み上げられ、平松課長からお答えをいただきました。一つ一つの要望は必要と認識していながらも負担を伴う要求はハードルが高いようです。また、サンクラブ多摩宛郵便物を総合福祉センターでの受け取りに関してはセンター事業としての扱いが難しいとしながらも検討してみるとの回答でした。
その後、参加者からの質問や要望を受けました。
まず、他の障がいと違い手帳の有効期限がありその都度申請しなくてはいけない。市から有効期限前に通知が欲しい。高齢化に伴い本人も親も煩雑な手続きに対応できなくなっている。(同様の意見2件)合わせて市から送られてくる書類が難しくもっとわかりやすい文章にならないかという要望も出て同調者も多数ありました。
参加者からの情報でそのような書類などの管理は計画相談員さんが見つかると安心して任せられるとの発言がありました。計画相談員さんの情報が欲しいとのご意見に対して、市が発行している「福祉のしおり」の後ろの方に案内があるので参考にという平松課長からの案内もありました。また、自立させたいが持ち家なのでいざという時に生活保護を受けられないのではと心配している親御さんのお話もあり、あっという間に時間が過ぎてしまいました。
皆さん、抱えている問題も様々ですが、このように同じような悩みを抱えていることも実感しました。行政との話し合いの大事さも改めて感じ、これからも相互の理解を深めるために続けていきたいものです。
(KH)
9月12日(火)集いの会
出席者4人(うち会員4人)
最近入会された方がいらっしゃいました。高森先生のお話を聴いて、今まで自分の子どもに対する態度が間違っていたとわかったので、こういう機会に皆さんとお話したいということでした。一通り子どもの病名や兄弟の有無、かかっているクリニックや病院のこと、今住んでいる所など皆で話し合いました。そんな中でお互いに子供の頃住んでいた所が割と近い、ということが分かって、共通の話題で盛り上がったりして、子どもの事より自分たちの話題で楽しく会話が弾みました。
ご自身の病気で3,4か月お休みしていた方が、「家にずっといてほんとうに話したかったわ。子どもの心配っていうより、話すっていうことに飢えていたの。」とおっしゃったのが印象的でした。
(S.T)
8月の活動
8月9日(火)集いの会
出席者 3人(うち 会員3名)
先月同様ものすごく暑い日で何人集まるかが心配でしたが、この会を楽しみにしている方々が参加してくださいました。暑い中での生活上の工夫など日常生活が話題になり、先月同様自分の体調不良と行き届かない家事へのいらだちなどが話されました。新しい方が入ってくれないと同じ話になってしまうから、と新しい方の参加を心待ちにしている参加者一同でした。
(S.T)
8月5日(土)SST講演会「みんなでやろう 家族SST」
参加者 23名(うち会員10名)
今回で60回を重ねた高森先生の公開講演会。HPを見て参加されたという方々を含め4名の方が初参加でした。長年懸案だったサンクラブのHP開設が、悩みを抱えて手探りの家族につながっていることがわかり、総会で開設を決定したものの役員の知識不足による立ち上げの苦労が報われたことを感じました。
◆まず相手の現在位置を認める ~2つの家族会での質問を通して~
全国の家族会で講演をされている高森先生は、横浜青葉区の家族会で、参加者全員が2人ひと組になり、SSTの会話を練習した際のエピソードから話された。家族が良かれと思い言ったことで、当事者が参ってしまう受け止め方をする場合があるので、家庭の中でストレスを受けない会話を学ぶ練習です。終了後、20年以上参加しているまじめなお母さんから質問があり、「SSTのポイントである反復を意識し息子と話しても、息子は質問には答えてくれず、自分の言いたいことだけしか言わないので、会話が成り立たない。どうしたらいいか」ということでした。この時、先生は港北区の家族会の催しで質問された父親の事例を話したそうです。
その男性は最前列に座り、講演終了後、「フィンランドのオープンダイアローグがすごくいいと思っている。娘にこれをやりたいが、まったく娘は自分と会話してくれない。どうしたらいいか」という質問だったとのこと。オープンダイアローグ(開かれた対話)は、患者の気持ち・発言を大事にし、徹底的に患者と家族、複数の専門家が対等な立場で話し合いを重ねることで生活を立て直していくもので、5年後には85%が薬なしの人生(治ったわけではないが、症状が抑えられ、薬漬けにならない人生)を過ごしていることに、世界中の医師がびっくりしたという治療法である。
どうして娘さんは会話をしてくれないのか? いつも父親に高圧的な態度で上から目線で言われるから嫌なのか? 頭がまだ混乱している病状で、ちゃんと父親に話せるか不安だからなのか? 娘の心の中の理由を考えてみることが大事。話題になっている治療法を聞き、ぜひ娘にやらせたいという息ごみだけでは、会話はできない。まずは、お父さんが娘のレベル(現在位置)に合わせてあげることがスタート。それが「現在位置を認める」ということ。相手の返事を求めない。おはようという明るく短い会話だけをする。それをまめに重ねると娘さんも気が楽になってくる。家族が当事者の人権を認めて寄り添うと、開かれた関係になってきて、初めてオープンダイアローグは可能になる。お父さんには、そう答えたそうです。
この事例を紹介し、次に、息子さんが質問に答えてくれない母親の悩みについて、「息子さんには、母親がまた何か言ってきて、自分の気持ちをかき回すのではないかとの思いがあるではないか。お母さんは、息子と言葉のキャッチボールをしたい要求が強すぎるので会話が成り立たない。息子の心を開けず信頼関係ができない。オープンダイアローグはいい方法でも、相手に合わなければ成り立たない。まず、お母さんが自分を変え、息子のレベルに合わせる。それが今を認めること。短いやり取りでも相手に合わせて明るく働きかけることの積み重ねで、信頼関係をつくる」というのが、高森先生の回答でした。
現在位置を認めるということで、先生が具体的に紹介されたのが、大声を出した場合の親の対応についてです。当事者が大声を出すことは、間々あること。親はやめさせたいが、現在位置を認めるというのは、まずは大声を出すことを認める。「ストレス発散のために大声出すのは一番いいんだって。我慢すると病気が悪くなるから」と肯定し、その後に「だけど、近所の人はびっくりして怖がるよね。ご近所関係が悪くなるから、相手に聞こえない工夫してくれるとお母さんうれしい」と言って、4500円ぐらいする消音機付きの叫びのツボを勧めて購入してみる。今はそんな商品もある。これが、当事者の現在位置を認める方法。つい、親は周囲のことが頭に浮かびやめさせようとしがちですが、説教するのでなく、自分の思いに応えてくれた親への信頼につながるアプローチです。
◆伊勢田先生の「精神疾患は治らないし、治す必要もない」をめぐって
昨年6月に、川崎の家族会が元都立多摩総合精神保健福祉センター医院長の伊勢田先生を招いて講演会を開催したが、その内容が難しく、でも何か大事な事を言っていると感じ再度開催を望む声が高かったので、1月に同じ先生を招いて同じ資料を使って実施したそうです。通訳的な役割を期待された高森先生も一緒でした。伊勢田先生の講演のポイント「精神疾患は治らないし、治す必要もない」は、以下のような内容です。
・精神疾患の再発予防は困難なことが分かっており、今は予後改善計画(治らなくても社会復帰は可能な状態へ)ということになっている。
・それは、生活特性を統御して生活の安定化・社会適応の改善を目指すこと。
・統合失調症は治る。25年後の長期転帰研究で47%が自立している。
・人生が行き詰まると調子が悪くなり発症し、行き詰まりが解消されると回復する。治りきりにはならないが、行き詰まりが解消されるといつでも回復できる。むしろ、治そうとすること自体が治りにくくさせる。
・最大の障壁は精神疾患への偏見・差別。
伊勢田先生の「精神病は治らないし、治す必要もない」の言葉は、ショックな響きの言葉だが、生まれつき敏感な個性を持ってストレスで病気になった当事者の個性は、治したり、治せるものではない。当事者の意思を尊重し環境を調整していくこと。医師から「貴方の育て方が悪いわけではない。貴方のかかわり方次第では、よくも悪くもなる」と言われても、具体的にどうすればいいのかがわからず、親は良かれと思い、際限なく治そうとストレスを与え続けてしまう。
伊勢田先生の講演内容ポイントを高森先生が次の家族会でわかりやすく解説されたそうです。以下がその内容。病気だからそうせざるを得ない症状を親がいじろうとすると、余計悪くなる。親が治そうとしても治らない。原因は周囲が作っている。ストレスで脳が疲れて起きるのが統合失調症。環境を整え、ストレスを上げないようにすることが大事。親の指示や助言は、病気の当事者の意思と一致しないとストレスになり、環境や状況の変化もストレスになる。親が「私が治さないと」と良かれとする事が必ずしも本人に良いとは限らない。本人の意思を尊重し、身体の中から湧き上がる本人の回復力を大事にすること。伊勢田先生の言葉は、「退院後、どう接すればいい?」という親からの質問に対し、「医師も薬も治せない。弱っている子どもの元気が出るように育て直す」というのが真意である。心を育て直し自信のある人間に育て直すことが大切。そのための当事者にストレスを与えないコミュニケーションの方法を学ぶ必要がある。
◆当事者の今を認めたことが起こした変化 ~2つの事例から~
川崎の家族会の会長で全国の家族会の役員でもあった方は、奥さんがなくなり、家事が全くできない息子と自分との二人暮らしになった時、「息子にすべてを任せよう」と決心した。ずっと引きこもりだった息子は、お湯を沸かす程度しかできない。コンビニで毎日同じ物を買ってくる。何も言わずに任せてその生活をしていたら、3年たって息子から「お父さん、ありがとう。今までの人生の中で一番充実している。今は尊敬している」という手紙が来た。すべてを任せたことが、今の息子を認めたことにつながり、自分が変わったことが息子に変化を起こした。自分はこれまで変われない親だったと述懐していた。財布も息子に任せたので、新聞4紙をとって社会情勢にも詳しくなっているそうだ。
もう1例は、お母さんが良かれと思うことを30年間やり続けたケース。くたびれて息子の面倒も見切れなくなり、「もう何も言わない、面倒を見ない」と宣言した。そうしたら、息子が元気になってきて、「30年間墓場の中で息をひそめてきた人生だった。今は友達が欲しい。髪をピンクに染める」と言い出す。驚いた母親がSSTで相手の気持ちをわかるための会話を繰り返し実行したら、「目立つことで声をかけてもらいたい、友達をつくりたい」という気持ちの表れだったことが分かった。家族が自分の気持ちわかってくれたことがうれしく、息子は髪をピンクに染めるのはやめた。
この2つの事例は、一切口出しをしない、相手の今を認めることができたという共通点がある。それが寄り添うということ。周囲が味方になることが大事。一生懸命に何かいうというより、ほめるように持っていく必要がある。言葉の端々で当事者は傷つきやすい。SST(ソーシャル スキル トレーニング)は、アメリカのリバーマン先生が考案した開かれた対話をするための技術。当事者の再発の防止や生活の質の向上に効果がある。次のようなプロセスを踏む。
① 関心表明(態度であらわす)視線・身を乗り出す・手を使う・はっきり大きい声・明るい表情・話の内容が適切
② 反復確認(相手の言葉を繰り返す 第一声を引き受け否定しない)
③ 相手の話が具体的になるための質問(想像力で聞きだす)
④ 共感の言葉(同意ではない。共感と同情は異なる。本当の共感は寄り添うこと)
⑤ 自分の考え
親は、すぐ⑤の自分の考えを言いがちだけれど、当事者は調子が悪い時ほど、ただ聞いてほしい。辛さをわかってほしい。助言や忠告はいらない。①②③を丁寧にやること。
◆お困りごと相談の事例とSSTロールプレイ体験
2回目の入院中の娘さんが、退院した後のことを心配されているお母さんからの相談事例に絡めて、参加者全員が2人1組になり、母と娘の役でSSTの実習に挑戦! 寄り添っているつもりで一心同体になっていたり、質問が出ない、すぐ自分の考えを言ってしまう、当事者の立場に戸惑ったりと、皆さん笑いながら苦戦していましたが、いろいろな気づきがあったようです。
お困りごと相談に対する高森先生からのアドバイスは、「退院後は脳の疲れをとるため、作業所やデイケアに行くというより、しっかり眠らせること(朝の眠りは脳にいい)。責めない(今を認め安心して元の状況に戻れるように)。一人遊びの時間を大事にし、そこから意欲につながり外に出ていきたいという気持ちが生まれる。そこで本人の意向を踏まえて次の段階を考える。環境変化で周囲に敵が増えると幻聴が増えるので、まずは、家族・お母さんが味方だよと伝わるように、とことん話を聞いてあげ対応することが大事」。
ここで終了時間が来て、先生は会場外で別の相談にも応じてくださいました。
(M.F)
7月の活動
7月22日(土)学習交流会 豊田秀雄氏を囲んで
参加者11名(会員 10名)
昨年度の2月においでいただいた豊田秀雄先生の今年度1回目の交流会です。コロナの流行以前のように総合福祉センターの501研修室でした。先生の指示通り、お互いの顔が見えるようにテーブルを囲んで席に着きました。
最初に先生からこれからのこの会についてのお話がありました。「当事者がどうした」という話ではなく「私がどう思う」という話がしたい、ここだけだったら何でも話せる、という場にしたい。ここの話で皆さんが『心の健康』になれば良いと思う。
私なりのルールとして次のことを守って欲しい。
① 人の話を批判しない。
② ここで話されたことを外で話さない。
③ 自分にとっての良い情報は頭の中で持ち帰って欲しい。
その後、先生ご自身の最近の出来事のお話があり、出席者一人一人の発言に移りました。
こういう形で先生とお話したのは初めてだったので、ほとんどの人が自己紹介的に病気の子どもの発症からその後の経過と現在の悩みについて語りました。
全員の話が終わった後、先生からは「自分を主語にして話してほしい」と言ったのに、そのようにできた人はごくわずかだった。皆さん抱え込み過ぎている。自分を主語にして自分を褒めてください。皆さんの不安は当事者に伝わります。と言われました。
確かに親が安定すれば子どもも自然と良くなる、と先生のおっしゃることは頭では理解しているつもりです。しかし、日々の困りごとをなんとか解決の方向に持って行きたいと思っている参加者は、なかなか簡単には頭の切り替えが難しいと思いました。
交流会後の個別相談は1件でした。
(S.T)
7月11日(火)集いの会
出席者3人(うち会員3人)
まだ梅雨明けにはなっていないのに、朝から太陽がギラギラ照り付けるものすごく暑い日でした。
最初に「嬉しいことがあったの。」と子どもの自発的な行いを話してくれた方がいました。そこから各家庭での毎日の生活が話題になり、この暑い夏をどう乗り切るか、自分の体調不良と行き届かない家事への非協力的な家族に対する不満など、良いことも悪いこともたくさん出ました。
最後に「こんなこと自分のきょうだいに言ってもわかってもらえないし、ここに来ればみんなわかってもらえて、いろいろな情報ももらえるからね。」と担当としては嬉しいひと言をいただきました。
(S.T)
7月5日(水) 高森先生個別相談
相談者3人
サンクラブとしては昨年12月に続いて第2回の個別相談で、先着順の申し込みはあっという間に定員に達し、締め切られました。
当日相談を受けた中のお一人は、家族構成や発症後の経過などを書いた紙を用意して臨んだそうです。 高森先生は自分の話をしっかりと受け止めてくださって、「とっても辛い思いをしてきたのね。たいへんだったわね。」 と今までの苦労を優しく労ってくださったそうです。 個別相談に来ることができてほんとうに嬉しかった、と話されていました。
(S・T)
6月の活動
6月24日(土)グループホーム「ハピネスいち花」見学会
参加者12名(会員11名)
京王堀之内駅に集まった会員は当事者一名を含め総勢12名。 梅雨に入っているとは言え、予報は曇り、時々日が差す程度で気温の高くなる心配はありましたがまずまずの見学日和です。 集合時間10時には全員が集まり予定通りの路線バスに乗ることができました。 真面目な見学会とは言え久々の外での活動で解放感も手伝いウキウキ感も否めません。 ちょっとした遠足気分です。 「東住宅入り口」で下車した時には施設長の村上さんがお出迎え、12名のおばさん集団にびっくりした(ごめん、一人若くてかわいい参加者がいました! )ご様子でした。 ヤマボウシが咲き乱れている住宅を歩くこと5,6分、手入れの行き届いたお寺さんの手前2階建てのアパートが2棟、手前が少し前に建てられた知的障がい者のグループホームでその隣が目的地の「ハピネスいち花」、新しいマンション風の建物です。
村上さんの案内で一階の空いている部屋を見学、ドアを開けたとたんに明るい日差しが入り込み新しい家具、調度品と相まってまさにマンションのモデルルームの様! 「いいな」、「いいな」、と言いながら備え付けの洗濯機、冷蔵庫、レンジなどあっちこっちを開けたり、触ったり。 奥のお部屋は29㎡(約8畳)の広さで涼しげなカーテンが付いています。 ガス、水道・光熱費などは個別メーターが各戸についていて入居者負担、お部屋でのインターネットの利用は今準備中で無料になる予定だとか。
一階廊下の奥の部屋は交流室。 リビングにはソファ、テレビが置かれ、隣の食堂には大きなテーブルが3つ、周りに椅子が並んでいます。 ここで平日の朝と夕の決められた時間に栄養士さんの作った食事を食べるそうです。 各お部屋からも交流室からも青い芝生が見えますが、交流室の前の芝生は広々としていい風が入っていました。 そこでの全員、村上さんを囲んでの話し合い。 「いち花ってイチゴの花のことです。イチゴの花は枯れない花です。」 村上さんの最初の一言。 そうか、「いち花」ってイチゴの花のことかとここでグループホーム命名の意味を納得。 村上さんは精神障がいの息子さんをお持ちで お連れ合いの死後、親の会に関わり今日に至っています。 家族としての悩みを十分理解しておられ、親や親せき以外の社会資源を使って生きることを覚えていくことが親亡き後の大きな力になると自立の大切さを訴えていらっしゃいました。 入居のしおりに沿ってお話が続きます。 入居資格は3点あり
・精神障害者(発達障害も含む)であって支援区分2~3(4でも可の場合あり)の人
・障害者手帳を有し、現在通院先がある人
・紹介者推薦書 (通院先の主治医、親の会の会長さんなどに書いてもらう)
利用料金は48000円(内訳 食事代30000円、家賃15000、共有部分の光熱費3000円)
さあ、どうでしょうか? お支払いできそうですか? 何より平日の朝夕栄養士の方の作ったご飯が食べられることはありがたいですね。 もちろん本人の意志が大事で、入居の条件に本人が見学して、試験的体験を2泊3日~実施することを原則にしているそうです。 今、住んでいる方はまだ2人、これから入居が決まった人からお部屋が決まっていくそうです。 相談窓口(080-2135-7708)土日を除く平日の10時~15時受付。 通過施設なので3年間の期限付きですが頼りになる村上さんの元、社会への一歩を踏み出しませんか?
(K.H)
6月23日(金)東京つくし会評議委員会
参加者1名
昨年と同じく会場は下北沢タウンホールでした。 真壁会長の挨拶で始まりました。 新型コロナが5類に移行になり私たちの日常生活も少しづつ元に戻りつつあります。 今年の1月には東京つくし会の事務所を世田谷から調布に移りました。 つくし会にとって大きな出来事です。 又、2月にNHK・Eテレで放映された「精神科病院、闇の実態」で滝山病院における患者に対する拘束や暴行の実態が明らかになりました。 滝山事件は一精神科の問題ではなく毎年のように繰り返される精神科病院の虐待、人権侵害に終止符を打つために、精神科医療がもつ、構造的な問題を見直されなければなりません。
来賓の挨拶では、都議会厚生委員長、各政党の都議会議員からは一人約1分間のスピーチがあり、滝山病院の事件は大きな問題で、再発防止に向けて取り組みたいと、多くの方から心強い発言がありました。 行政からは東京都精神保健医療課長が出席しました。 滝山病院虐待防止委員会の立ち上げがありました。 月1回の開催で1回目は院長の挨拶、経過報告、病院内の見学などがありました。 つくし会からは植松副会長が参加しました。
財政面について、厳しさは続いていますが収入の大きな増加が見込めない中、現在、つくし会役員の江頭さんのご厚意により、低家賃、今までの約3分の1でつくし会事務所を借りれることになりましたと言うお話でした。提案された2022年度事業・活動報告及び2023年度事業活動計画は全て承認されました。詳しい内容につては7月以降の「つくし便り」に掲載されますので是非ご覧下さい。
・午後から講演会がありました。
テーマ:長期入院の精神障がい者の地域移行支援を考える
~病院から出て地域で暮らすために何が必要か~
講師 :日本社会事業大学名誉教授 古屋 龍太 氏
(K.F)
6月12日(火)集いの会
出席者4人(うち会員4人)
しばらくぶりに参加された方がいました。ひとしきり、それぞれの家での最近の様子などを話し合った後で「今日は私、話をしたら泣いちゃうかと思っていたんだけれど、こんなに笑うなんてびっくりしました。」とおっしゃっていました。
集いの会では、あまりみんなで笑い合うということは少なvvいのですが、楽しい事でも辛い事でも、お互いに分かり合えるのが嬉しいですね。「分かり合える」ということを再認識した一日でした。
(S.T)
5月の活動
5月20日(土)2023年度通常総会
(会員17名)
昨年に続いて、今年は来賓をお招きすることなく会員のみで通常総会を開催しました。藤岡責任代表の挨拶のあと、61名の会員中17名出席、委任状35名で総会が成立したことが宣言され、会員の本多さんが議長に指名されて議案の審議に移りました。
1号議案の「2021年度を振り返って」の中では、コロナ禍の続く中で会員以外にも広く呼び掛ける大きな講演会は企画しませんでしたが、年間計画の学習交流会を予定通り実施し、秋のハイキングなど新しいことにも取り組んできたことが高村代表の説明があり、懸案事項だった相談について、高森先生の個別相談を1回実施して好評だったことが報告されました。
2号議案の決算報告では、落合代表が欠席のため、村石会計担当役員から2件の寄付があったことなどの結果、次年度の繰越金が前年度を上回る額になったことが報告されました。続いて本山監査委員からは帳簿、現金について間違いないことが報告されました。
3号議案の活動計画と予算案では藤岡責任代表から年間テーマは昨年同様の「地域で安心して生きるために」が発表されて、村石会計担当役員からはその裏付けとなる予算案の説明がありました。
4号議案の役員体制は、長く広報を担当されていた須藤さんが協力員に代わりました。
1号議案から4号議案までそれぞれ賛成多数で承認されました。
総会終了後の懇親会では、テーブルを輪にしてまず
協力員の紹介がありました。次に、それぞれの近況報告がなされました。
◎妄想がひどくて困っている。
◎夫と息子の仲が良く無くて困っているなどの話がありました。
◎20代から40代まではとても困っていたが、
今は落ち着いてグループホームを経てひとり暮らしをしている。記念病院のワーカーさんがとても頼りになるというお話をされた方もいました。
◎入院中に妄想によって消防や警察に電話してしまい、騒ぎになって困った、主治医に相談したいのになかなかそのチャンスがなかった。やっと主治医に会えて直接薬を増やしてほしい、と言ったらやっと少し薬が増えたが、主治医と相談できないのが困る、という方もいて、主治医との意思疎通の難しさにも話が及びました。
◎通院しておらず、一日中ひきこもり、家族中の生活が乱されて困っている、どうしたら良いか、と切実に訴える方もいました。
なかなかすぐには解決できない問題が多いのですが、中には会員同士で経験談を伝え合ったり、相談先など良い情報が得られる場合もありますので、懇談会にはぜひご参加ください。
(S.T)
5月9日(火)集いの会
出席者4人(うち会員4人)
今回は、強迫神経症の症状が酷くなり、家族中が振り回されて困っているという方がいました。中に同じ病気の方がいて、病名が同じでも症状が様々だというお話になり、病名や症状、その時の家族の対応、現在に至るまでの医師の対応など病気を中心した話で終始しました。
集いの会は少人数で今困っていることなど、何でも話せる場です。どうぞ、一度覗いてみてください。
(S.T)
4月の活動
4月22日(土)学習交流会
参加者 12名(内 会員12名)
今年度1回目の交流会です。2021年「みんなねっと東京大会」分科会の記録DVDを皆で見ました。テーマは「誰もが人生の主人公~子離れのススメ・親亡き後の準備~」です。助言者1名・問題提起者4名の方が一人ずつ経歴、現況、活動について等のお話があり、内容を要約しました。
■佐野文宣氏 (多摩草むらの会 当事者)
大学卒業後、一般企業に就職、過労により33歳の時「うつ病」発症。入院、引きこもり生活を送っていたが41歳の時、多摩草むらの会と出会い、B型作業所に通所し、グループホームに入居、卒業後は一人暮らし。3年前からはグループホームのOBとしてピアスタッフとしても活動。今年の8月からは正式な雇用契約を結びパートスタッフとして登録している。実家は高齢で病気がちな父母と長い間引きこもっている47歳の弟がいます。病院に繋がっていない弟のことが心配です。
■根間あさ子氏 (多摩草むらの会 当事者)
12歳で「統合失調症」の診断を受ける。入院、引きこもりの生活がつづいており20歳前後から少しづづ外に出られるようになりました。親が、私が学校に行かず家にいることを受け入れてくれて初めて、家で安心して過ごすことができるようになりました。30代~40代は元気で結婚し子供にも恵まれました。60歳を超えてから精神保健福祉士の資格を取りました。今は多摩草むらの作業所「パソコンサロン夢像」でスタッフとしてお手伝いをしている。相談支援センターで電話相談を通して共に考えるという仕事をすることが生活の中心になっています。
■上村茂氏 (多摩草むらの会 支援者)
市役所に勤務、定年後2019.4月多摩草むらB型作業所「パソコンサロン夢像」に勤務。夢像は定員50名、現在登録者数は125名、毎日平均40名が来て活動をしています。親亡き後の準備についてAさんの例は母親が生前から行っていた機関誌を届ける仕事を継続することで地域の人たちとの繋がりを持って生活している。心配なのは地域の中で孤立してしまうこと。親がご近所や自治会を含め様々な地域活動やネットワークと繋がっていることが大切です。 Bさんの例はグループホームに入居。人とのコミュニケーションが苦手。市の担当ケースワーカーが積極的に関わって訪問診療を入れ少しずつ状況が改善。役所は生活の様々な窓口です。ちょっと敷居が高いと思われているが困ったら気軽に住まいの役所に相談をしてみてください。市の担当職員と顔見知りになることも大切です。
■増田一世氏 (やどかりの里理事長 助言者)
今日のテーマ「一人一人が人生の主人公になろう」と言うこと「やどかりの里」も同じキャッチフレーズです。今、みんなが主人公になりえていない現状、なぜそうなのか、一概には言えないが、社会保障の脆弱さがあります。今330名の方が登録しています。圧倒的に親と暮らしている方が多いです。親の生計をもとに暮らしを立てています。家族への依拠があり、そうならざるを得ない状況があります。変えようとする動きは少しずつあり、一人暮らしのステップが出来ている。サポートステーションやグループホームです。家族だけで一人暮らしの準備をしなくてもよいのではないか、誰かの力を借りてもよいのではないかと思います。支えてくれる人をどうやって探していくのか、ここに地域格差が出てきているがいろんな地域で良い活動をしている所があります。
■渡部伸氏 「親亡き後」相談室・行政書士・社会保険労務士
最後に渡部先生の話を聞くことになっていたのですが突然、映像と音声の調子が悪くなり、やむを得なく中止することになりました。「親なき後」の相談室の活動については「みんなねっと東京大会誌」に要約したものが掲載してあり、そのまま記載しました。
〇「親亡き後」の課題は3つ
・お金で困らないための準備をどうするか
・生活に場をどこに確保するか
・日常生活の フォロー~困った時の支援はどうなるのか
〇「親亡き後」の悩みを相談したい場合、窓口がばらばら
・住まいや福祉サービスは行政や計画相談、成年後見制度は社協などが運営する後見センター、相続などお金のことは民間の専門家
・それぞれの親が対応してくれそうな相手を課題ごとに自力で探さなければならない
・そもそも悩みが漠然としている場合は、課題が何かも明確になっていないので相談先が無い
〇「親亡き後」相談室があると、とりあえずここに行けばOK!
・相談窓口が一つなので、いろいろな課題への対策を示してもらえる
・漠然とした悩みに対しても、相談ができて次への指針がしめされる
・具体的な悩みが見えてきたら、専門家を紹介して、個別に対応してもらう
〇相談室の目的と機能
・早い段階から不安を話すことで、親たちそれぞれが、ことが大きくならないうちに準備が必要なことを知り、準備できる状況を作る
・何かを解決する場ではなく、あくまで予防的な対応をする場所
・病気でいえば、重病になってから大病院にかけ込むのではなく、ちょっと体調が悪いと思ってかかりつけの医者に行く、そんなイメージ
〇アドバイスのポイント
・住まいや暮らし方から考えると、お金や支援者など親亡き後の生活を支える仕組みが組み立てやすい
・本人の希望が最優先
・定期的な収入と日中の居場所、それぞれの確保が重要
・成年後見制度の利用はあわてずに
・きょうだいの心情に配慮
・家族だけで抱え込まず、地域を巻き込む
・一番大切なのは、悩むご家族の話を聞く姿勢!
〇全国の「親亡き後」相談室
・7月10日現在77カ所、福祉系(社会福祉事業団、親の会・・・) ファイナンス系(行政書士、司法書士、FP、保険業・・・)
・地域の専門家同士で連携するネットワークも有効
ビデオ鑑賞は残念ながら中断をしましたが、話し合いの時間を長く持つことができました。新しく入会されたお二人の方が参加され、一人ずつ自己紹介、近況報告ができました。一人一人が抱えている状況やら悩みは様々です。このような交流会の大切さを改めて思いました。今年度もどうぞよろしくお願いします。
(K.F)
4月11日(火)集いの会
出席者 3人(うち会員3人)
集いの会はここのところ人数の少ない月が続いて、3人でした。最初は親の体調不良の話から始まります。それから、TVでみた滝山病院の話題に移りました。どうしてあんな病院が許されているのか、ほんとうに酷い、と口々に感想を述べ合いました。また、自分の子どもが最初に行った病院での処遇など、滝山病院ほどひどくはないけれどひどい病院はたくさんあるようだ、精神を取り巻く医療全体の問題だと憤りをあらわにしました。
集いの会は少人数で何でも話せる場です。どうぞ、一度覗いてみてください。
(S.T)
4月1日(土) 「みんなでやろう家族SST」第59回 高森信子先生
参加者 34名(うち会員15名)
5か月ぶりの高森先生の公開講演会は、新たに参加された方が多く、父親の立場で熱心に耳を傾けていた方が複数いらっしゃったのが印象的でした。他地域からの参加も多く、切実な思いの家族に寄り添う学びの場が必要なことを、いつもながら痛感しました。最初に高森先生は「お医者さんは、あなたのやり方次第で子どもの病気は良くなると言うけれど、カルテ用語が多く、具体的にどうすればいいのかまでは話してくれない。家族、特に親の関わり方は、閉ざされた家の中では難しい。親は善意の塊、愛があるゆえに、良かれと思って子どもへの指導や助言の際限がなくなる。言われてよくなる病気ではない」と口火を切られました。そして、明治から昭和の詩人・作詞家の西条八十が作詞した童謡についてふれられました。「唄を忘れたカナリアはうしろの山に捨てましょか。いえ、いえ それはなりません」で始まるこの歌は、作詞家本人の体験から生まれたそうです。家族のため自分が働かないと立ち行かず、大学を辞めて働きづめだった頃の辛い思いが反映しているとのこと。2番では「小藪に埋める」、3番では「柳の鞭で打つ」という過酷な表現が使われ、4番で「唄を忘れたカナリアは 象牙の船に銀の櫂 忘れた唄を思い出す」というフレーズで終わっています。この唄は精神科の患者と重なるということで、詩人の体験が生んだ表現は、辛い行為に「それはなりせん」と謳い重ね、最後は、環境を整える方が良くなることを謳っているという内容でした。
専門家の医師の講演会は、専門用語が多く家族にとっては難解のため、素人に分かる言葉で話すということで専門家から評価されているという高森先生。元都立多摩総合精神保健福祉センター医院長の伊勢田先生の家族会での講演会で、お話が理解できず、改めて高森先生に通訳してほしいと依頼があったそうです。高森先生は、「精神病は治らないし、治す必要もない」という講演会の中での伊勢田先生の言葉の真意について、「心の病は愛で癒す」という小冊子や事例を通して以下のように解説されました。
◆小冊子「心の病は愛で癒す」から
高校生で発症した統合失調症の息子を持つ呉慎次郎さんがボランティアで作成された「心の病は愛で癒す」という小冊子。高森先生は全17編の掲載寄稿文の中から、まず「自由こそ治療だ! イタリア・20世紀の精神医療大改革」について触れられた。精神医療改革を成しとげたイタリアの精神科医バザーリア先生は、「狂気は、生活環境によって増長されるので、環境によりその危険性を抑えることは可能であり、病院は狂気を増大させる」と主張した。これを家族の関わり方にあてはめると、家族がSSTを学ぶ意義が浮かび上がる。統合失調症を発症する子は生まれつき敏感という個性が強く、親が喜ぶような子になろうとして、脳が疲れ果てて思春期に発症するケースが多い。「家族は『絶対なおるよ』と言ってあげ、本人の意思を尊重し、育て直しという視点で子どもの成長を待ってあげることが大切」と言及された。良かれと思い親が次から次に助言・忠告・指導をしてしまうことが、バザーリア先生の言う「生活環境によって狂気を増長される」現象につながっているという指摘です。
また、息子の回復のために、国を超えてこれと思う専門家にも寄稿を依頼し小冊子を作るほどの行動力の持ち主である呉さんについて、息子の視点からの先生の考察を述べられた。息子への強い思い・責任感と行動力ゆえに、息子の気持ちを聞かずにすぐに実行してしまう呉さん。息子はその善意もわかり、親に頼らざるを得ない自分の生活を思うと何も言えず、がんじがらめになっている。親はそれに気づいていないので一生懸命で、息子の状況が一向に変わらないこと。一方、北海道の「ぺてるの家」では、家族関係が悪い当事者同士が集まり共同生活をしていて、そこには、親から離れて距離を置き仲間の中で成長していく姿があること。この対比から、親の思いではなく、本人が本当に欲しているものをあげなければ、子どもに通じないのではないと指摘された。
◆当事者の意思を尊重し、湧き上がる回復力を大事に!
次に、家の中で父親の戸主意識が強いと、治そうと子どもをがんじがらめに支配してしまいがちなことを、全国の家族会での事例から具体的に紹介された。病気の部分を親が治そうと必死になると、そこから、かえってこじらせてしまうこと。家族は「どう治すかでなくて、どう生きるか」の視点で対応する。当事者の生活ぶりを見て本人の志向を支援することが基本。病気が悪化する原因は周囲が作っている。ストレスで脳が疲れて起きるのが統合失調症。環境を整え、ストレスを上げないようにすることが大事。親の指示や助言は、病気の当事者の意思と一致しないとストレスになり、環境や状況の変化もストレスになる。親が「私が治さないと」と良かれと思ってする事が、必ずしも本人に良いとは限らない。本人の意思を尊重し、身体の中から湧き上がる回復力を大事にすること。「退院後、どう接すればいい?」という医師への質問に対し、「医師も薬も治せない。弱っている娘さんを元気が出るように育て直してください」という回答を通して、高森先生は、心を育て直し自信のある人間に育て直す大切さについて強調された。
◆親がストレスにならないために
ほめ上手になることを実行すること。相手の都合にあわせ、深追いはしない。お願い上手になって、当事者ができそうな事の選択肢を2つ用意する。上からでなく自分で選んだように感じることで、信頼感ができる。できることを少しずつ増やしていくと、健康の矢印が増えて病気の分が減っていき薬の量が減ってくる。治すのではなく、結局は生き方の問題! 伊勢田先生の「精神病は治らないし、治す必要もない」は、このことを指している。
FMさんの丁寧な記述はまだまだ続きます。この続きはサンクラブだよりをご覧ください。